子育て中の「漫画を読むプロ」に【子ども×漫画デビュー】を直撃取材! 子どもが「漫画」を読むのに親がルールを作るワケとは?

「漫画研究家の本棚」 #1 比治山大学短期大学部美術科講師・久保直子先生

読ませたい漫画は「ヴィンランド・サガ」

──久保先生がいずれ、お子さんに読んでほしいと思っている作品も教えてください。

久保先生:『ヴィンランド・サガ』(著:幸村誠/講談社)です。

『ヴィンランド・サガ』著:幸村誠(講談社)
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久保先生:11世紀北欧のバイキング全盛だった時代のお話で、史実をもとにフィクションを交えて描かれています。

主人公が父親を殺されて復讐を誓い、戦いに身を投じていくということで最初は暴力描写が多いのですが、私が読んでほしいポイントは、第二章。主人公が「戦いは憎しみしか生まない」ということに気づき、異なる部族や考え方の人たちと戦わず、どうやって共存・共生していくかが描かれます。

私としてもとても学びの多い作品だったので、いつか本棚に置いたときに子どもたちの目に留まれば、と思っています。

また、個人的には『らんま1/2』(著:髙橋留美子/小学館)が大好きで。

でも以前に『ホーム・アローン』という8歳の少年が主人公のコメディ映画を「子どもたちも楽しめるかな」と思って一緒に観たことがあるのですが、主人公の罠にはまった泥棒たちのシーンに子どもたちがドン引きしてしまって…。『らんま1/2』もドタバタ格闘コメディで暴力的なシーンや性描写があり、まだ子どもたちがコメディとして楽しめるには早いのかな、と控えています。

もう少し成長してから本棚に出そうと考え中です。

漫画だからこそ学べること

──漫画だからこそ、子どもが学べることは何だと思いますか?

久保先生:漫画は娯楽として楽しめるだけでなく、作品を通じて知識を得たり、自分と違う考え方や生き方を知ったりするのにとても適したメディアだと思います。

さまざまなテーマやメッセージを人の心に届けることができるのが漫画の強みだと思うので、いずれは私たち夫婦の愛読書の中から、おすすめの作品も本棚に出していきたいと思っています。

子どもたちがこれからたくさん漫画に触れて、どんな作品を好きになるのか、漫画を生業にする親としては、これからがすごく楽しみですね。

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次回2回目では、漫画・美術教育をテーマに多彩な研究活動を行う芸術学博士であり、6歳男児の子育て中の竹内美帆先生にお話をお聞きします。お楽しみに。

「漫画研究家の本棚」連載は全3回

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久保直子(くぼ・なおこ)

写真提供:久保直子

広島県出身。2004年、京都精華大学芸術学部マンガ学科ストーリーマンガコース卒業。漫画家アシスタントや、京都国際マンガミュージアムのスタッフなどを経て、現在、比治山大学短期大学部美術科マンガ・キャラクターコース講師を務める。

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