思春期に悩む子どもへ贈る本「名前をつけられない関係性」を描いた3選

出版ジャーナリスト・飯田一史のこの本おススメ! 第7回 「名前をつけられない関係性の物語」

出版ジャーナリスト:飯田 一史

写真:アフロ
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友だち、恋人、家族……。どのカテゴリーにも当てはまらない、名前をつけられない大切な関係に悩む思春期の子どもたちへ。

人間関係をカテゴライズしたがる私たちに、出版ジャーナリストの飯田一史氏が3冊を選書。あいまいさから生じる不安を乗り越え、自分らしい関係性の形を見つけるヒントを贈ります。

(連載7回目)

▼連載『出版ジャーナリスト・飯田一史のこの本おススメ!』▼

「友だち」の距離感やグラデーションのズレに悩む思春期へ

生きていると、なんと呼んだらいいのかわからないけれど、大事な関係ができるときがあります。友だちでもないし、恋人でもないし、家族でもないし、かといってただの知り合いとも違う。

人は、ともすると人間関係を「友だちってこういうもの」「家族ならこうしてくれて当たり前」とカテゴライズし、自分がつくりあげてしまったイメージを他人に押しつけて、思いどおりにならずに怒ったり、悲しんだりしてしまうものです。

あるいは、「友だち」と一口に言っても、学校で会えば話すもののそれ以外では特に付き合いがないとか、こちらからは誘うのに相手から誘ってくることはないとか、グラデーションがあります。しかもお互いにどういう距離感を望んでいるのか、ズレがあることもよくあります。

写真:アフロ

身近なはずの親であっても「家族」と呼びたくない、ということもあるでしょう。では何と呼べばいいのかというと、「毒親」と言って突き放すだけでは、そこからこぼれるものがあったりもします。

自分に目を向けてみても、人間は一人ひとり違います。人と人の関係も、自分のことも一言でうまく表わすことができるものとはかぎりません。「親友」「子ども」「付き合っている」といったラベルはわかりやすいですが、それに合わせて振る舞うことを求められると、気づまりにもつながります。

もちろん、そう呼ばない、あえて名付けをしない、どんな関係なのかを確認せずに過ごすこともできます。確定させてしまうのも、ためらうときがある。

しかし、今度はそのあいまいさがときとして不安にもつながることも。特に思春期には、人との付き合いに悩みます。そんな年ごろの子たちには、いわく名付けがたい人間関係を深く描いた本を手渡してみてはどうでしょうか。

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