10月は惑星観測に絶好! 惑星を「水金地火木土天海冥」で覚えた人こそ知りたい「今」の事実

今知るべき「宇宙という新教養」。宇宙を知ると変化も楽しい深い理由

深すぎてヤバい宇宙の図鑑・『マンガ・重力って何?』から

じつは10月は絶好の惑星観測シーズンです。
月が、金星(2023年10月10日~12日ごろ)・土星(10月23日~25日)・木星(10月28日~30日)に接近し、天候がよければ、月と一緒に輝く惑星を楽しめます。

ところで太陽系の惑星の数は今何個?と言われたら、何個を思いつきますか?

8個? 9個? 10個??

「水金……」と指を折り始めたひともいるかもしれません。
じつは、観測技術の発達で、太陽系では、次々と新しい天体が発見されはじめています。

では惑星の数は、「水金……」の9個から多くなっているのでしょうか?

世界ではじめてブラックホール撮影に成功したEHTプロジェクトの日本代表である本間希樹(ほんま まれき)先生の『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑』から、今の惑星の数が昔となぜ変わったのか「思わず人に言いたくなる宇宙ネタ」を紹介します。

『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑 宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!』 著/本間希樹 イラスト/ボビコ 協力/東京大学CAST

知ってるつもりで知らないことだらけの宇宙のことがよくわかる! ブラックホールの撮像に成功した本間希樹先生が、やさしくやわらかく教えてくれる宇宙の図鑑決定版!

「私が子どものころ、太陽系の惑星は水金地火木土天海冥の9個であると習いました。当時、いちばん遠くの惑星は冥王星とされていたのです。

しかし、2006年、世界中の天文学者の集まりである国際天文学連合が、冥王星を惑星から外し、新たに作った準惑星というカテゴリーに分類しました。いわば正式な惑星から、1つ下の種類に『降格』されたのです。

冥王星が見つかったのは1930年で、そのころは海王星と並んで太陽系内でもっとも遠くにある惑星とされました。

ところが20世紀末になると太陽系の遠くの探査が進み、冥王星と同じくらいの大きさで、それよりもさらに遠くにある天体が複数発見されます。このままだと惑星が増えすぎて困ったことになってしまうので、惑星の定義を見直して、今後も発見される可能性のあるこのような天体を惑星とはしないことに決めたのです。
2006年に決まった新しい定義によると、惑星とは、太陽を公転する天体のうち、球状になるほど十分な質量を持ち、かつその軌道において支配的な質量を持つ天体、と定義されました。

冥王星の公転軌道は海王星の軌道と交差しているので、海王星付近の軌道でいちばん大きい天体は海王星となり、この定義だと冥王星は惑星とはなりません。冥王星が惑星でなくなったのはちょっぴりさびしいですが、定義を修正しないと、惑星の数がどんどん増えていってしまい、覚えるのが大変になってしまいそうです。

もしそうなっていたら、みんな天文学がきらいになってしまったかもしれませんね!」

残念ながら惑星から降格されてしまった冥王星。ところで、その冥王星の直径、さて日本列島と比べてどちらが大きいでしょうか?

じつは日本列島のほうが大きいのです。

冥王星の直径は、約2400km。日本列島の北から南は約3000kmあるので、冥王星の直径は、日本列島より小さく、木星の衛星などよりも小さいのです。

冥王星は準惑星に降格しましたが、太陽系では、これから、どんどん新しい天体が発見されていきます。
観測によって、新しい事実がどんどん見つかり、宇宙の知識はどんどん更新し続けられています。

私たちの住む太陽系もまだまだわからないことだらけ……と思うとワクワクしませんか?
10月、ぜひ空を見上げて惑星を探してみてください!

参考図書
『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑 宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!』
著/本間希樹 イラスト/ボビコ 協力/東京大学CAST

知ってるつもりで知らないことだらけの宇宙のことがよくわかる!
ブラックホールの撮像に成功した本間希樹先生が、やさしくやわらかく教えてくれる宇宙の図鑑決定版!
「人間は星のかけらからできている?」「宇宙の最初は目に見えないほど小さい点だった??」「宇宙にも天気予報がある?」「太陽の寿命はあと50億年?」「一番近くの星に行くのに4万年?」など、宇宙の始まりから身近な時と暦など、知りたいことをわかりやすいQ&Aで紹介。持ち歩きやすいハンディ版。

『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑 宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!』 著/本間希樹 イラスト/ボビコ 協力/東京大学CAST

著者プロフィール/本間希樹(ほんま・まれき)
国立天文台教授・水沢VLBI観測所長。国立天文台のVERAを用いて、銀河系の3次元構造を研究。また、銀河中心の巨大ブラックホールを事象の地平線スケールまで分解するEHTプロジェクト(サブミリ波VLBI)の日本代表。EHTプロジェクトでは2019年4月10日夜、国立天文台を含む世界16の国と地域の研究機関が共同で記者会見を開き、ブラックホールの「影」の撮影に成功したことを発表。