

子どもの笑顔を見ると日々の疲れも忘れてしまう、という大人は多いのではないでしょうか。
未就学児~小学生のお子さんたちが楽しい気持ちになれる「笑える絵本」は子どもが本を自ら手に取ってくりかえし読み、字や単語を覚えるきっかけになり、読み聞かせでも人気です。ちょっとしたことで機嫌が悪くなったり泣いてしまったり、でも立ち直りも早いのも子どもの特徴ですが、少し落ち着いたときの気分転換にもぴったりです。
子どもに人気の爆笑絵本を紹介します。
目次
“あるある”のおもしろさ 『大ピンチずかん』

作/鈴木のりたけ 小学館
どんなときに人は笑うでしょうか。
子どもは(大人も)TVのドッキリ番組が好きですよね。突然落とし穴に落ちるような予想もしていなかった事件、ちょっと困ったハプニングが起こったときのひとの表情を見ると、つい笑ってしまいます。
鈴木のりたけ『大ピンチずかん』シリーズは、子どもがコップに注ぐ牛乳が溢れているとか、食べているケーキが倒れている場面を描いた表紙からして「あ!」と思わせる、子どもの日常によくある/ありそうなピンチが1~2ページずつコンパクトにまとめられています。
子どもは自分でも考えてみるのが大好きですから、「こんなピンチもあるよね!」と親子で話しながら読むのも楽しい時間になるでしょう。
くりかえしのおもしろさ ガタロー☆マン「笑本おかしばなし」

作/ガタロー☆マン 誠文堂新光社
昔話を研究している小澤俊夫先生は、昔話では大事なことを3回くりかえす、と言っています。たとえば「三びきのこぶた」はオオカミに3兄弟が順番におそわれるお話ですし、桃太郎は犬、猿、キジと3回同じようなやりとりをします。知っていることがくりかえされることに子どもは楽しさをおぼえ、安心するのだそうです。
多くの絵本も「くりかえし」で子どもを喜ばせるつくりになっています。
なかでも『ももたろう』『おおきなかぶ~』『てぶ~くろ』など誰もが知る作品を爆笑絵本として描き上げたガタロー☆マンの「笑本おかしばなし」シリーズでは、昔話、童話の「くりかえし」のリズムを笑いに変えています。
『ももたろう』なら
「おじいさんと おばあさんが すんでい……」「ました!!!」
「おばあさんは かわへ せんたくに いき……」「ました!!!」
「どんぶらこ どんぶらこ と ながれて き……」「ました!!!」
と「ました!!!」の連続で進んでいきます。
これは正直、めちゃくちゃウケます。
ことばがくりかえされるだけでなく、ページをめくって現れた「ました!!!」のところで、登場人物たちのおもしろい顔芸のインパクト、その前のページまでとのギャップがすさまじいのもポイントです。
激しい表情の「ギャップ」がおかしい『おしりたんてい』『パンどろぼう』

作/トロル ポプラ社

柴田ケイコ/作 KADOKAWA
「ギャップ」も子どもの笑いのツボを押す要素です。
トロル『おしりたんてい』ではふだんはジェントルでかわいらしいおしりたんていが事件解決のために犯人におならを発射するシーンでは絵が突然劇画調になり、ここで子どもはゲラゲラ笑います。
柴田ケイコ『パンどろぼう』も主人公のパンどろぼうがかじったパンがおいしくなかったときの「まずい」と言う見開きの絵、「うえ~っ」という声が聞こえてきそうなパンどろぼうの表情の強烈さが、前後のページの絵の軽快さとのギャップもあいまって、思わずクスッと笑ってしまいます。