𠮷岡先生:いろいろな機会を与えてあげることです。小さな子どもは、何でもやりたがりますよね。でも、飽きたらすぐやめます。それでいいんです。ほんとうに好きなら続けますから。
──飽きるとポイってやめますよね。
𠮷岡先生:飽きてやめたからといって、それがムダになるわけではありません。情報としては、脳の中に残っていく。それが将来、どのような意味づけを持つかは子どものころにはわからないのです。だから、親もこだわらずに流せばいいのです。
──「あー、やめちゃった」と、忘れてしまえばいいのですね。
𠮷岡先生:ぼくも子どものころには習い事もすぐやめてしまって、よく母に「秀人はほんとに何をやっても続かない」と言われていたんですよ。今、30年以上も粘り強くミャンマーなどで医療活動を続けていくようになるとは、母もぼく自身も思ってもいませんでした。
大会で勝ったとか、作品が人に褒められたとか、そんなちょっとしたきっかけで人生は変わるものです。そうしたら、親が引っ張っていかなくても自分からやるようになります。面白くて好きなことや、ほんとうにやりたいことなら続けますからね。
成功体験が励みになる子もいれば、失敗が記憶に残る子もいます。何が正解かはわからないのです。「親の正解が、子どもにとって必ずしも正解ではない」という謙虚さは持っておいたほうがいいでしょう。
「人生が幸せになる」コツを持っておく
──子どもと向き合うときに心にとめておきたいことがありますか。
𠮷岡先生:「人生が幸せになるコツ」を持っていることです。自分の利益だけでではなく、人も喜ぶことをする。人と自分がともにうれしいことをする。それだけ知っておけば充分です。
──行動するときの目安になりそうです。
𠮷岡先生:ぼくの息子は、妻と一緒に街で買い物するときに、何軒かのパン屋を見て歩いて「たくさん売れ残っている店で買おう」と言うそうです。こういった視点は、良い縁を引き寄せるのに大切なことでしょう。
──なるほど、自分もパンを食べられて、その店を応援することにもなりますね。子どもが幸せな人生を歩むために、親はいい形で見守っていきたいですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。
聞き手/高木香織
●𠮷岡秀人(よしおか・ひでと)プロフィール
小児外科医。認定NPO法人ジャパンハート創設者、最高顧問。1965年、大阪府生まれ。1995年からミャンマー、2009年からはカンボジア、2013年からはラオスでも活動。2004年、国際医療ボランティア団体「ジャパンハート」を設立。海外では、医療活動のほか、視覚障害者自立支援活動、エイズなどで親を亡くしたり、貧困のため人身売買の危機にさらされていたりする子どもたちを保護し自立を支援する養育施設「Dream Train(ドリームトレイン)」の運営、医療人材育成などを行う。国内では、災害支援、医療者不足の離島やへき地への地域医療支援事業、がんの子どもや家族を支援する「スマイルスマイルプロジェクト」などを行っている。2021年第69回菊池寛賞を受賞。ジャパンハートの団体として、国連からのアワード、沖縄平和賞、日本政府からのSDGsアワードなどを受賞。
●高木香織(たかぎ・かおり)プロフィール
出版社勤務を経て編集・文筆業。医療・子育ての本を多く手掛ける。文・編集に『ほんとうにすごい! iPS細胞』『命を燃やせ いま、世界はあなたの勇気を待っている』(ともに講談社)ほか。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。
絵物語『小児外科医 𠮷岡秀人物語 ボクが行かんと誰が行く』
𠮷岡少年が中学生のころ、テレビで見た戦争や飢餓で苦しむアフリカの子どもたち。その光景は、のちに小児外科医を目指すきっかけになりました。「落ちこぼれ」だった𠮷岡さんは、猛勉強の末に医学部に入学し医師になります。やがてミャンマーで医療活動を始めたとき目にしたのは、充分に医療を受けられずに命を落としていく子どもたちの姿でした。「子どもたちが生まれてよかったと思える世界」を目指して、𠮷岡さんは国際医療ボランティア団体「ジャパンハート」を設立します。ミャンマーの小さな村で始まった活動は、やがて大きなうねりとなっていくのです。この本は、一人の少年が夢を追い続けた半生の物語です。𠮷岡先生から子どもたちに「幸せに生きるために大切なこと」を語りかける「あなたへの手紙」も掲載。
【関連書籍】


![決定版 心をそだてる はじめての伝記101人[改訂版]](https://d34gglw95p9zsk.cloudfront.net/item_books/images/000/456/208/medium/2151d88c-0c3e-43de-b301-0d8e0d449233.jpg?1781856573)





































高木 香織
出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。
出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。