
【自由研究】「5つメモして2つ調べる」学びのコツ 「国立科学博物館」の研究者が解説『いきもの超ワールド展』の魅力とは
田島木綿子先生インタビュー【後編】 (2/2) 1ページ目に戻る
2026.07.09
「標本」を通じて得られる、本物の自然との出会い
──学校や塾といった場とは異なる「博物館での学び」は、子どもにとってどのようなメリットがあるとお考えですか?
田島さん:それはやっぱり、標本があることですね。標本とは、「人間が調査研究するために、自然から切り取った一部」という言い方もできます。
博物館に来ると、我々は標本を通して自然に出会い、そこから何かを感じ取り、学ぶという体験をできるはずです。自然界に存在したものを少しお裾分けしてもらって保管しているのが博物館なので、まぎれもない本物を目にしたときの感動は、非常に大きな意味を持つと私は思っています。
私がいくら「イルカの胃はたくさんの部屋に分かれていて、すごく面白いんですよ!」と言葉で説明しても、イルカの胃の実物標本を見たときのインパクトにはかないません(笑)。
田島さん:私自身、「実物を見ると、人の反応はこれほど変わるんだ」という経験をしていますし、私たちが標本を見て感動するなら、多くの人もきっと感動してくれるはずだと信じています。
今回展示している標本は、多くの人に興味をもっていただけるようなラインナップを考えておりますが、皆さんがどこにハマるかは十人十色であり自由です。自分だけのツボをみつけていただければと思います。
研究者の仕事は過去を辿って学ぶことも多いですが、実は私は「過去」よりも「現在から未来」を知りたいと思うタイプでした。
でもいろいろと勉強していく中で、今よりもずっと知識や技術が未完成で、コンピューターもAIもなかった時代に、人間が自らの力だけで自然界や人間についてのさまざまな事実を突き止めたことのすごさも実感するようになりました。
今は便利なものがいろいろある時代だからこそ、人間が本来備えている「考える力」を大切にしなければいけないと切に思うようになりました。そのためにも、「体験すること」は第一歩だと考えます。
目の前で本物と出会ったときの「最初の驚きや感動」って、すごく大事な体験ですよね。第一印象で、子どもたちが何を感じるか。保護者の方と同じ感想でなくても良いわけで、そのほうがかえって、「どう感じた?」「私はこう感じたよ」「へぇ!」と盛り上がれるはずです。
今回の展覧会は「いきもので異なる『五感』」、「いきもので異なる『エネルギー補給』」など6つの切り口で、いきものたちの生き残り戦術を紹介しています。これらの生き残り戦術の中には、人間にも備わっているスキルもありますので、自分たちと比較しながら見ていただけると思います。
そして、ほかのいきものはどういう能力が発達していて、どんな生き方をしているのか。展示を見て、聞いて、感じ取り、そういう話題でぜひ盛り上がっていただきたいです。
興味を持てば、「学ばない」という選択肢はなくなる
──子どもの学びによく利用されるアイテムに、図鑑があります。図鑑という書籍ジャンルの魅力、子どもの学習によいと思う点などについてお聞かせください。
田島さん:学び方に、決まった法則はないように思います。たとえば、博物館を訪れたとき、何が面白かったかをお子さんに5つほど挙げてもらい、メモしてもらいます。そのうちとくに面白かった2つについて、お家に帰ってからお子さん自身で図鑑やインターネットを使って調べてみる、というのもいいのではないでしょうか。
お子さんが興味を持った内容が、博物館の推し展示でなくても全く問題ありません。お子さんが何に興味を持ったのかを知ることや、そこから会話が生まれることなどが、次のステージへつながり、そこからどんどん世界が広がっていくはずです。
──最後に、この展示を通して来場者の方々に届けたい思いをお聞かせください。
田島さん:我々人間もいきものの一員であることを心に留めながら、いきものたちの「超」がつくほどの驚きと感動の世界を体験してほしいです。
そして、そうしたいきものたちと共に、この地球でこれからも歩み続けていけるヒントやきっかけが見つかるといいなあと思います。
楽しかった思い出を一生ものの学びに。「おうち復習」のすすめ
ここからは、本と子育てのウェブメディア「コクリコ」編集部より、田島先生のお話をふまえた、博物館での感動を一生ものの学びに変えるための「すてきなヒント」をご紹介します。
田島先生がインタビューの中で教えてくれた、「お家に帰ってから、特に面白かったことを図鑑やインターネットで調べてみる」というアイデア。会場でいきものたちの迫力に満ちた姿に五感で触れた後は、ぜひおうちで「振り返りの時間」を設けてみてください。
展覧会を観終えたあとの子どもたちの頭の中は、「すごかった!」「おもしろかった!」という新鮮な興奮でいっぱいです。その熱量が冷めないうちに図鑑を開くと、おうちでの振り返りがさらに充実します。
自分だけの「おもしろポイント」をさらに深掘り
田島先生のお話にもあったように、子どもがどこに夢中になるかは自由です。たとえそれがメインの大きな展示ではなく、片隅にあった小さな昆虫や、1本の骨だったとしても、その知りたい気持ちを深掘りへと繫げてあげてください。親子でインターネットや図鑑などを活用し、さらなる発見を探してみましょう。

「絵日記」や「自由研究」がすらすら書けるヒントに
博物館で出会った標本の大きさや、いきものの生存戦略の違いなど、現地で感じたファーストインプレッションを思い出しながら図鑑や映像などの資料を調べてみましょう。正しい名前や、いきものたちの詳しい解説を一緒に読み解くことで、子ども自身の手で「自分だけのいきもの研究」をまとめられるようになります。
「博物館で本物の迫力に驚き、おうちに戻って深める」。このステップが、子どもたちが自分で考え、学び続ける力を伸ばします。この夏休みはぜひ、お気に入りの図鑑などを相棒に、特別な探求の旅へ出かけてみてください。
取材・文/木下千寿
撮影/市谷明美
特別展『いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!』の詳しい情報
特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」
■会期
2026年7月11日(土)~10月12日(月・祝)
■会場
国立科学博物館
〒110‐8718 東京都台東区上野公園7‐20
■開館時間
9:00~17:00(入場は16:30まで)
※8月9日(日)~8月15日(土)は18時まで開館
(入場は17:30まで)
土日祝日および8月10日(月)~14日(金)はオンラインによる日時指定予約をおすすめします。
■休館日
7月13日(月)、9月7日(月)、14日(月)、24日(木)、28日(月)
※会期、開館時間等は変更になる場合がございます。
■主催
国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション
■協賛
光村印刷、早稲田アカデミー
■協力
新潮社、ZEISS、ブリッジリンク
■お問い合わせ
050-5541-8600(ハローダイヤル)
03-5814-9898(FAX)
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木下 千寿
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。