経済アナリストの森永康平さんは経済評論家・森永卓郎さんの長男。証券会社勤務などを経て、2018年に金融教育のベンチャーを起業しました。
2022年の4月からついに始まった高校の金融教育。メディアでは難しい経済の話を生活者目線で楽しく語ってくれる森永卓郎さんですが、果たして家の中ではどんな父親だったのでしょうか? ※連載全5回の2回目
多忙だった父が、家によく持ち帰っていたものとは
父親のことはよく聞かれるのですが、皆さんが思っているようなお金の教育は受けていません(笑)。強制されたことは一切なかったです。ただ、興味をもつきっかけや環境は用意してくれていましたね。
僕が小学校ぐらいのころの話ですが、小児ぜんそくとアトピーを患ってて、運動ができなかったんです。男子たちはほぼ全員、休み時間にサッカーや野球、バスケをやっていたのに、僕は教室でお絵描きしていました。Jリーグや「スラムダンク」が全盛のころに……です!
お絵描きには、父がシンクタンクに勤務時代に持って帰ってきたレポートの裏紙を使っていたんですね。「この裏に絵でも描いていなさい」と、たくさん持ち帰ってくれたんです。
当然、いじめられました。「お前、男子のくせにお絵描きなんかしてんじゃねーよ!」と。それで仕方なく、絵を描くのをやめたのですが、やることがなくなってしまって……。
そこで、ヒマになったのでレポートの表側を読むようになったんです。当たり前ですが、子どもにはチンプンカンプンで、わからない言葉だらけですよね。
でも、中学生になると自然に興味が湧くようになり、たまたま家にいた父親に「これってどういうこと?」と聞いてみると、マクロ経済とミクロ経済の分厚い教科書をポンと手渡された。
「え、読んで自分で調べろってこと?」
父親は「わからない単語があったら索引から探して自分で調べなさい」と言い放ち、僕は意味も分からないまま読んで調べて……を繰り返すようになりました。
明らかに他の家庭と違うところと言えば、経済や投資関係の本がたくさん揃っていた、ということでしょうか。腐るほど家に置いてあったので、本屋や図書館に行く必要がないんです。
こうして僕は、経済や投資の知識を子どもながら独学で蓄えていったのです。