施設から養子になったシンガー川嶋あい「真実告知はショック でも絶対乗り越えられる」

養子当事者・川嶋あい(シンガーソングライター)インタビュー【1/3】~養子と真実告知~

シンガーソングライター:川嶋 あい

真実告知が何歳でも必ず乗り越えられる

現在、子どもに養子であることを伝える「真実告知」は子どもがより幼いころから行うことが多く推奨されています。

それは、子どもには自らの出生について知る権利があるという「子どもの権利」の認識が高まっていること、また調査などにより低年齢時に真実告知を受けた子どものほうが、幸福度などが高いという結果が出ていることなどがその理由です。

川嶋さんは、思春期の12歳に、それも不本意なタイミングで真実を知ることになりましたが、養子当事者として真実告知についてどのように考えているのでしょうか。

「もし自分が幼いころに知ったとしたらという想像は、正直難しいです。でも、幼いころから日常の中で養子縁組について親子で話せる時間があったのであれば、穏やかに徐々に心の整理をしていくことができたのかもしれません。

今となっては、母がいつ真実告知をしようとしていたのか、もしくはするつもりはなかったのかは確かめることはできません。ただ、何歳で真実告知を受けていても、受け入れられるタイミングは必ずいつか来ると思います。

親子としてのお互いの愛情とか、一緒に過ごしてきた時間さえあれば、絶対に乗り越えられるものだと実感しています」

9歳のころ、育ての母と。青森のリンゴ園でリンゴ狩りをしました。  提供:つばさレコーズ
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施設で働く大人たちへの支援も必要

生後間もなく乳児院に預けられ、児童養護施設での生活を経て、3歳で養子縁組によって川島家の長女となった彼女は「私はいろいろな人に命のバトンをつないでもらってきた」と語ります。

大人となった今、養子制度について、当事者としてどのように感じているのでしょうか。

「私の最初の記憶は、施設で毎晩めちゃめちゃ泣いていたことです。施設に松原先生という大好きな先生がいて、毎晩泣きじゃくる私を抱きしめてくれていました。とてもあたたかい記憶なのですが、きっと先生はすごく大変だったろうなと想像します。

ほかにもお世話をしなければならない子どもたちがたくさんいた中で、泣いている私を𠮟りもせず、ありのままで受けとめてくださっていました。もし、あのときに受けとめてくれる先生がいなかったら心が閉ざされていたかもしれません。

自分の経験からも社会的養護制度の充実は、本当に喫緊(きっきん)の課題だと思います。養子縁組や里親制度の認知度や理解度を広げていくことはもちろんですが、支援施設で子どもたちのことを全力でサポートしてくださっている職員さんの働く環境の改善や充実化をはかることも本当に重要だと思います。

ここで働きたいなと思ってもらえるようなアプローチとか支援策をぜひ広く考えていけるといいですね」

─・─・─・─・─・

次回は、川嶋さんの命のバトンをつないでくれていた方々について伺います。

●川嶋あいPROFILE
2003年にI WiSHのaiとして人気番組の主題歌「明日への扉」でデビュー。2006年からは本格的にソロ活動をスタート。代表曲としては、「My Love」「compass」「大丈夫だよ」「とびら」などがある。特に「旅立ちの日に…」は卒業ソングの定番曲として大人気を誇る一曲となっている。個人のライフワークとしてボランティア活動などにも積極的に参加しており、海外に学校建設を行っている。


取材・文/関口千鶴

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かわしま あい

川嶋 あい

Ai Kawashima
シンガーソングライター

1986年福岡県生まれ。2001年に単身上京し、翌2002年から電子ピアノの弾き語りスタイルでストリートライブを開始。2003年にI WiSHのaiとして人気番組の主題歌『明日への扉』でデビュー。2006年からは本格的にソロ活動をスタート。 代表曲は『My Love』『compass』『大丈夫だよ』『とびら』など。特に『旅立ちの日に…』は卒業ソングの定番曲として大人気を誇る一曲となっている。 個人のライフワークとしてボランティア活動などにも積極的に参加し、海外に学校建設を行っている。 ●公式HP「My Room」

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1986年福岡県生まれ。2001年に単身上京し、翌2002年から電子ピアノの弾き語りスタイルでストリートライブを開始。2003年にI WiSHのaiとして人気番組の主題歌『明日への扉』でデビュー。2006年からは本格的にソロ活動をスタート。 代表曲は『My Love』『compass』『大丈夫だよ』『とびら』など。特に『旅立ちの日に…』は卒業ソングの定番曲として大人気を誇る一曲となっている。 個人のライフワークとしてボランティア活動などにも積極的に参加し、海外に学校建設を行っている。 ●公式HP「My Room」

せきぐち ちづる

関口 千鶴

Sekiguchi Chizuru
編集者・ライター

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon