我が子の不登校から「おかんラッパー」になって呂布カルマも絶賛! パトカー3回保護の“やんちゃ息子”から母が学んだこと

#1おかんラッパー「マイクラおかん」に学ぶママの輝き方~育児書どおりにいかない息子との日々~

おかんラッパー「マイクラおかん」:下崎 真世

学校に行かずマイクラにハマる日々

コロナ禍での入学式はわずか15分、その後学校は3ヵ月間休校になりました。下崎家ではテレビを置かない生活をしていましたが、暇をもてあました息子にテレビを解禁します。

やがてYouTubeをきっかけにオンラインゲーム「マインクラフト(マイクラ)」にハマり、長いと1日12~14時間、パソコンでプレイするようになりました。

「最初のうちは、何時間やったら飽きるのか、実験のような気持ちで様子を見ていました。それでも全然飽きないんですね。

じゃあどこがおもしろいのか、自分で確かめてみることにした。そしたらゲームに対する意識が一変しましたね。

3Dブロックで構成された仮想空間の中で、道具や建物を作ったり、実験をしたり、知らない場所に冒険に行ったり。『すごいことをしているんだ』と知りました。それに、『お母さんも一緒にやりたい』と言うと、息子がうれしそうにしていたのも印象的です」(下崎さん)

9歳のころ自宅で、ゲーム「マイクラ」に熱中する息子。  写真提供:下崎真世
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コロナによる休校期間が明け、もともと大人数が苦手などから徐々に子どもの行き渋りが始まります。週4日、3日……と登校できる日が減っていき、完全に不登校になったのは3年生のこと。

「ある日、学校から帰ってくると吐いたんです。なんとか学校に通ってほしいとずっと思い悩んでいましたが、そのとき初めて、体を壊すくらい追いつめていたんだとわかった。『もう行かなくていいよ』と言いました」(下崎さん)

不登校をめぐっては夫と意見が食い違い、ぶつかることも少なくなかったという。しかし今では息子の選択を受け入れ、二人三脚で支えている。  写真提供:下崎真世

自分が学校に求めていることってなんだろう──。働いていた下崎さんは、それは“託児機能”であることに気がつきます。勉強はやろうと思えばどこでもできる。それならばと会社と相談して在宅を増やし、後に会社を辞め、子どもと向き合う時間を選びました。

ちょうどそのころ、自宅近くにフリースクール「cas!ca(カシカ)」が立ち上がりました。プログラムも時間割りもなく、誰もが自由に出入りできる場所です。週2回、息子も通い始め、下崎さんも活動を手伝うようになっていきます。

ある日、お迎えに行くと、フリースクールを運営する勇弥(ゆうや)さんと息子が、フリースタイルでラップをしている場面に出くわします。

「ラップや自作の歌を歌っているのを聞いたことがなかったので驚きましたね。こんなコミュニケーションの形があるんだと学びました」(下崎さん)

これが、「マイクラおかん」誕生の一つのきっかけとなる出来事です。この後下崎さんは、インドア派の子どもの居場所を作るためにゲーム大会を主催し、ママ同士でキッチンカーを運営するユニットを立ち上げ、さらにはステージでマイクを握るようになります。

次回は、ママたちによるユニット「YES! OCAN(オカン)」にまつわる話を中心に伺っていきます。

●下崎 真世(しもざき まよ)PROFILE
ラッパー、イベントオーガナイザー、母親たちによるユニット「YES! OCAN(オカン)」代表、“ゲームの居場所”支援。「マイクラおかん」として、2023年開催の「NIKKEI RAP LIVE VOICE」(日本経済新聞社主催)に出場。ラップ未経験ながら審査員・呂布カルマ氏の心をつかみ「審査員特別賞」を受賞。


取材・文/稲葉美映子

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しもざき まよ

下崎 真世

Mayo Shimozaki
おかんラッパー「マイクラおかん」

ラッパー、イベントオーガナイザー、母親たちによるユニット「YES! OCAN(オカン)」代表、“ゲームの居場所”支援。一児の母。 「マイクラおかん」の名で、2023年開催のラップコンテスト「NIKKEI RAP LIVE VOICE」(日本経済新聞社主催)に出場。ラップ未経験ながら審査員・呂布カルマ氏の心をつかんで審査員特別賞を受賞。 以降、ラップを軸に地域イベントの企画やヒップホップを通じたセラピーや居場所づくりなどに取り組む。 ラップコンテスト「COCORO RAP CONTEST」主催。 ●Instagram「マイクラおかん」 ●Instagram「おかんの日替わりキッチン」 ●Instagram「COCORO RAP CONTEST」

ラッパー、イベントオーガナイザー、母親たちによるユニット「YES! OCAN(オカン)」代表、“ゲームの居場所”支援。一児の母。 「マイクラおかん」の名で、2023年開催のラップコンテスト「NIKKEI RAP LIVE VOICE」(日本経済新聞社主催)に出場。ラップ未経験ながら審査員・呂布カルマ氏の心をつかんで審査員特別賞を受賞。 以降、ラップを軸に地域イベントの企画やヒップホップを通じたセラピーや居場所づくりなどに取り組む。 ラップコンテスト「COCORO RAP CONTEST」主催。 ●Instagram「マイクラおかん」 ●Instagram「おかんの日替わりキッチン」 ●Instagram「COCORO RAP CONTEST」

いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。