「学校に行きたくない!」子どもがつぶやいたとき、知っておきたいこと
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2021.08.26
「学校に行きたくない」そう言われたら?
『こども六法』が69万部の大ベストセラーになっている教育研究家の山崎聡一郎氏に、子どもを取り巻く環境についてうかがいました。新学期が始まる今、「学校に行きたくない」そんな子どもを前にしたとき、どうしたらいいかうかがいました。
Q:『こども六法』のベストセラーおめでとうございます。早いところでは新学期が始まった地域もあります。9月1日問題というものがあるそうですが、何ですか?
9月1日は1年でも若者の自殺件数が、もっとも突出して多い日です。
9月1日と言えば二学期が始まる日として長年にわたって設定されてきた日ですよね。
もちろんいろいろな説がありますが、夏休みが終わり、学校に再び行かなければいけないというツラさがこの悲しい数字に表れているのではないかと言われています。
これが9月1日問題と言われています。
Q:学校に行くくらいなら死んでしまったほうが……と思う子どもがそんなにいるんですね! 子どもがなんだかつらそう?とか、「学校に行きたくない」と言われたとき、親はどうすればよいのでしょうか?
親の世代にとって、「学校は行ってあたりまえ」のものだったと思います。
それに学校に行かないと将来困る……と心配してしまうと「なんとか学校に行かせないと……」と思ってしまう。
「学校に行きたくない」と主張されたとき大事なのは、「甘えるな」「学校に行かないと将来困る」などの言葉をかけて、さらに子どもを追いつめてしまうようにしないことです。
いじめがあって学校に行きたくないのかもしれないですし、クラスでイヤなことがあるのかもしれない。
「なぜ行きたくないのか?」」その「なぜ」をまず知ることが大人の仕事なんです。
子どもを追いつめるまえに、ゆっくり理由をきいてあげる必要があります。学校が安全でない……と感じているなら、なぜそう感じるのか、聞いてあげる必要があります。
学校を安全な場所にするのは大人たちの仕事
Q:まずなぜを知ることが大事なんですね。たしかになんとか登校させようと無理させてしまいそうです。いじめなどがあった場合はどうすればよいのでしょうか?
本来、いじめを止めたり、学校におけるこのような不安を取り除いたりすることは、大人がやるべきことです。
学校は何よりもまず、心身の安全が確保され、安心して通える場所であることが大前提であるはずです。
その環境を整える義務と責任は当然に大人が負っているもので、安全でないなら、大人がなんとかしなくてはいけないですよね。
でも多くの場合、学校に行けない子どもがおかしい、行かせなきゃ……になってしまう。
これは「学校に行けない」子どもに責任転嫁をしていることといっしょです。悩みを深めている子どもをさらに追い詰めるようなことは、あってはならないのではないでしょうか。
Q:たしかに学校を安全にするのは大人の義務ですね! なぜ学校が安全でなくなってしまうのでしょうか?
金子みすゞの詩にある「みんなちがって、みんないい」という言葉は、誰もが知っているフレーズです。
でも、その境地に到達する道のりは決して楽ではありません。
むしろ、「みんなちがうと大変」であり、常に「みんな同じなら、どんなに楽だろう」という誘惑があるのです。
異質な存在を排除しようとする集団の誘惑が、異質……とレッテルを張られた子どもを「学校に行きたくない」と追いつめていきます。
もちろんもともとみんな違うところが必ずありますから、どんな理由でもどんな子どもでも、「違う」ところは発見できます。
だれもがいじめの対象となる可能性があるんです。