山崎貴監督 子どもの台詞はTikTokを参考に 「ゴーストブック おばけずかん」制作秘話
映画「ゴーストブック おばけずかん」山崎貴監督 特別インタビュー#2
2022.07.23
編集者・ライター:山口 真央
山崎貴監督の新作映画「ゴーストブック おばけずかん」では、4人の子どもたちが主人公をつとめます。
選ばれたのは、城 桧吏(じょう かいり)さん、柴崎楓雅(しばざきふうが)さん、サニーマックレンドンさん、吉村文香(よしむらあやか)さん。
個性豊かな子どもたちは、なんと500人以上のオーディションから選出されました。
今回のインタビューではキャスティングの意図や、台詞づくりへのこだわり、ストーリーを通して監督が伝えたかった「想い」に迫ります。
いろんな方向に向いたベクトルが「花」に見えるチームをつくった
ーー主人公に選ばれた4人の子どもたちは、オーディションで選ばれたそうですね。それぞれのキャストを選んだ理由を教えてください。
城(桧吏)くんは、たくさん役者の仕事をしているのに、ナチュラルな空気感をまとっていて好感が持てました。今回、演じてもらった一樹は、少しヘタレな性格。僕自身がヘタレなので、ナヨナヨした子ががんばって試練を乗り越える姿を、どうしても描きたくなってしまうんです。いい意味で「普通」の雰囲気がある城くんは、うまくキャラクターとイメージがハマったと思います。
柴崎(楓雅)くんは、城くんとは対照的で、いつも大人っぽく、気遣いするところがある。今回演じてもらった太一は、クラスのなかで一歩先を行くような子なので、柴崎くんにはぴったりの役でした。撮影の合間に、柴崎くんが大人っぽいしゃべり方をしていると「そういうところ!」とキャストやスタッフに突っ込まれて、愛されていましたね(笑)。
サニー(マックレンドン)は、オーディションを終えたあと、何人ものスタッフから「サニーはメンバーに入りますよね!?」と圧をかけられた(笑)。たしかにサニーがいるだけでその場がほっこりするというか、いいムードメーカーになってくれるんです。演技はほぼ初めてでしたが、以前からやっているような落ち着きぶりで、頼もしかった。
吉村(文香)さんは、感情をわかりやすく表現する子ではないけど、最初から責任感のある、しっかりした女性という印象でした。彼女も演技はほぼ初めてだったから、感情を爆発させるシーンでは、思ったようにできなくて落ち込んでしまったこともあった。でも、新垣さんが吉村さんに付き添って「大丈夫、できるから」って声をかけてくれて。最終的には、演技をバシッとキメてくれました。
それぞれを選んだ理由はありますが、最終的には「おもしろそうな映画だな」と期待させるビジュアルにしたかった。先生役に新垣結衣さんをオファーした理由も、以前やられていたコメディ系のお芝居がとてもキュートだったので、映画全体の楽しさが増すと考えたから。新垣さんと並んでみて、楽しい雰囲気が伝わるかどうかを基準にしました。
あとは、チームとして人を惹きつけるかどうか。4人の性格が似ていなくても、彼らの持つ別々のベクトルが功を奏して、花が開くように見えることがあります。今回のメンバーがまさにそれでした。最終的に並んでいる姿をみて「なかなかいいチームができたぞ!」と感じたのを覚えています。