小2長男がワクチン接種後にコロナ感染! そのとき家族は?〔忽那先生の解説付き〕

子どもの「コロナワクチン」接種3兄弟ママライターの体験記#3 長男のコロナ感染と家庭内感染ゼロ

ワクチンを打っていたけど、コロナ感染! 長男の家庭内隔離が始まりました。  写真:アフロ
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小2長男が1回目ワクチン接種(22年5月)。しかし7月にコロナ感染しました。そんなママライターによる、ワクチンと感染の実録ルポをお届けします。また、当時の母子の判断・行動を感染症専門医・忽那賢志先生に解説していただきました。最終回となる3回目は、長男がコロナに感染! 家庭内隔離や家庭内感染の様子について。

忽那賢志(くつな・さとし)先生
感染症専門医。大阪大学医学系研究科 感染制御学講座 教授 兼 大阪大学医学部附属病院 感染制御部 部長。専門は新興再興感染症、新型コロナウイルス感染症など。
(イラスト『絵本 はたらく細胞 3 はじめての敵! 新型コロナウイルス』より 絵:牧村久実)

ママライターの秋音ゆうさんファミリーは、小2、4歳、2歳の三兄弟とパパの5人家族。

長男Aくんの1回目の小児コロナワクチン接種後、大きな副反応もなく、2回目の予約のタイミングを考えていたところ、なんとAくんが新型コロナウイルスに感染!

ワクチン接種後の症状はどうだったのか? また家族内感染は? 秋音ファミリーの感染後の様子をお伝えします。

(全3回の3回目。1回目を読む2回目を読む

学校では相次ぐ学級閉鎖!そしてついに長男が感染……

2022年5月~7月上旬ごろは、日本でのコロナ感染者数が減少。世の中的にも「コロナの感染、落ち着いたかな?」という雰囲気に。厚生労働省から屋内外でのマスク着用についても新たな指針が出されたこともあり、少しずつコロナ禍前の日常が戻ってくるのかな、という気持ちと期待が少し膨らんできていました。

しかし、夏休みを間近に控えた7月中旬ごろ、新たな変異株「BA.5」の流行が急拡大。あっという間に過去最高の感染者数を更新してしまうほど、爆発的に感染が広がりました。

BA.5の流行は、子どもたちにも大きな影響を与えました。わが家の場合、まず次男の幼稚園で続々と感染報告があり、終業式まであと1週間というタイミングで学級閉鎖。

【忽那賢志先生】
BA.5というオミクロン株の仲間である変異株は、とにかく感染力が強いのが特徴です。またワクチンを接種している人、これまでに新型コロナに感染したことがある人でも感染することがあります。デルタ株までの変異株と比べると重症化はしにくいと言われていますが、お子さんでは熱性けいれんの事例が増えています。

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1週間早く次男の夏休みが来てしまったため、慌てて仕事の調整をしながら過ごしていたその3日後。学校から帰宅した長男が、「なんだか気持ち悪い……」、「身体が痛い」と泣き出しました。

長男は少し特性(過度激動・OE)があり、一般的にはレベル1の痛みや辛さが、レベル10くらいに感じてしまうのですが、「○○が痛い」、「□□が辛い」というのはしょっちゅうだったのと、ちょうど家庭学習で難問に直面していたときだったこともあり、「少し疲れちゃったのかな?」と、しばらくリビングのソファで横になってもらうことにしました。

通っている小学校でも、感染者数が徐々に増えていることは聞いていましたが、このときは悪心程度だったので、コロナに感染したとは想像もしていませんでした。

そのままソファでこんこんと眠る長男。結局、夕食も食べずに眠り続けていたので、22時ごろ、大丈夫かな? と、様子を見てみると、顔が赤くなっていて身体も熱い! 「まさかコロナ……?」と思い、検温するとなんと38.5度の発熱! 

これはマズいなと思い、ひとまず長男を子ども部屋に連れて行き、そこから隔離態勢を取りました。

【忽那賢志先生】
隔離のタイミングですが、コロナ感染を疑った時点で隔離をしていただくということで良いと思います。ちなみに、感染の症状が出る前から人にうつることもありますので、すぐに隔離できたとしても、すでに周りの人が感染してしまっている、ということもあります。

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そして翌早朝にもう一度検温すると、今度は39.5度まで上がっていました。ちなみにパパはこのとき数日間の大阪出張中。大人は私ひとり。ワンオペで乗り切るしかありません。

初めてのPCR検査は想像以上に過酷だった!

小学校に発熱したことと欠席の連絡を入れ、急いで受診できる小児科を探しました。しかし、この日はちょうど近隣の小児科がすべて休診日……。ダメ元で内科にも問い合わせましたが、小児は受けられないという返答でした。

諦めずにグーグルで「地区名 小児科」で検索し、ようやく見つけた家から徒歩10分ほどの小児科に電話してみると、なんと1時間後に受け入れてくれることに! 

早朝に検温し39.5度まで発熱していた長男は、全身真っ赤になり、ぐったり。病院に行くのもままならないような状態だったので、家の置き薬から、坐薬の解熱剤を一度使用しました。これが効いて、病院に着くころには少し落ち着き、意識もはっきりしていました。

【忽那賢志先生】
オミクロン株が広がって以降、小児の熱性けいれんの事例が増えていると言われています。高熱をそのままにしておくよりも、秋音さんのように、病院に行く前に解熱薬を使ってあげるのは良いかと思います。

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指定された時間に弟たちも連れて小児科へ向かうと、発熱症状などコロナ感染の疑いのある患者は屋外待機という態勢をとっていました。

玄関先に作られた診療スペースで簡単な問診をして、すぐPCR検査することに。

検体容器に唾液を入れなくてはいけないのですが、高熱が出ていた息子の身体はカラッカラ。「つばが出ないー」と半泣き状態で、20分ほどかけて目盛りギリギリの唾液をなんとか採取。

PCR検査は、翌日電話で結果を聞けることになりました。

【忽那賢志先生】
PCR検査のためには、かなりの量の唾液が必要になりますので、実際にお子さんの唾液採取はなかなか難しいと思います。しかし、時間はかかっても大丈夫ですので、十分な量をしっかり取るようにしましょう。耳の下や顎の下にある唾液腺という唾液の溜まっている組織を押さえると出やすくなりますよ。

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そしてこの日、長男のクラスが学級閉鎖になったという連絡が帰宅後に入りました。

2日発熱、3日目の朝に解熱 しかし発熱以外の症状は出ず

帰宅後から長男を完全に家庭内隔離。食事も子ども部屋に運び、1人で食べてもらいました。

悪心や身体の痛みは1日目だけだったようで、2日目の症状は発熱のみ。咳や鼻水といった症状や味覚障害も出ませんでした。

そして、PCR検査の結果は「陽性」。大阪出張中のパパには急いで連絡して、帰ってきてもらうことにしました。ここから家族5人の長い長い自宅待機が始まります。

発熱してから3日目の朝。検温すると36.8度。顔色もとても良く、息子に体調を聞くと「超元気!」という返事が返ってきました。

《症状の経過まとめ》
【1日目】
18時:悪心・体の痛みなど。顔色が悪く、ぐったり。発熱なし。
22時:全身が熱く、顔は真っ赤。38.5度の発熱。

【2日目】
5時:39.5度。全身が熱く、ぐったりした状態。咳・鼻水などはなし。
12時:解熱剤のおかげで37度台に。顔色も良く意識もはっきり。
15時:38度台に。食欲はあまりない。
18時:37.9度。起き上がれるようになり、食欲が戻る。
21時:37.5度。顔色もよく元気。

【3日目】
6時:36.8度。顔色も良く、食欲は完全復活。
その後も3時間おきに検温するが、熱が上がることなく、風邪症状・味覚障害などもなし。

【忽那賢志先生】
オミクロン株では、ワクチン接種をしていても感染することはありますが、重症化を防ぐ効果はしっかりと保たれます。
今回の長男くんは、ワクチン1回接種後の感染ですが、多少なりとも重症化を防いだ可能性はあります。ただし、お子さんはもともと成人と比べると重症化しにくいので、どこまで効果があったのかは、正直判断が難しいところです。

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