“発達特性のある新1年生“のトラブル 親が学校と協力する方法を専門家が解説

発達障害の専門家が語る「発達特性のある子どもの小1プロブレム」#3~学校との協力体制の作り方~

一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表・言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也

【エピソード1】教室の外にいる子

「特別支援学級」に在籍していた自閉症スペクトラム障害のAさん。同学級での学習内容が難しすぎて、教室に入ってこなくなりました。

そのうち校庭や階段にいるようになってしまいました。先生方も校庭や階段にいるからと「安心」して、本人が教室に来る気持ちになるまでと、そのような行動を容認する日々がかなり続きました。

学校に来たら教室に行き、カバンを置いて課題をして勉強をする。そのあと自由な時間がある。1年生のうちに、学校とはそういうところだと子どもに認識してもらうべきです。

そのためには、「課題の難易度を下げる」、「課題ができたら本人が好きなアクティビティをしていいことにする」といった段取りによって、本人が教室に入って安心して学習できるようにする必要があります。

「やったらできて褒められた。そしていいことが待っていた」という見通しを持てるような工夫が必要なのだと思います。

【エピソード2】通常学級のルールを守らせる

「通常学級」と「特別支援学級」を併用していたBさん。通常学級でも落ち着いていたということで、通常学級でほとんどの時間を過ごすようになりました。

ところが担任が『通常学級に入ったのだから、みんなと一緒にがんばって通常学級のルールを守りましょう』と、他の児童と同じ行動を求めてしまいました。

その結果、Bさんはしんどくなって、学校には泣いて行きたがらなくなったというケースです。

【エピソード3】児童の目の前で「×」印を作り指導

特別支援学級に在籍していた自閉症スペクトラム障害のCさん。大きな声を出す、廊下を走るといった行動をすると、先生がCさんに向けて指で「×」印を作りながら、「それはバツです、バツですよ」と言い続ける。

そのうちCさんはそれを見るとパニックになり、泣きながら校門から出て行ってしまうことが度々ありました。

子どもの立場になって考えると、褒められてきた経験や達成感がまだ多くない中で、「バツ」と繰り返し言われたら、自分を否定された気持ちになり、より自信を失います。困って逃げてしまうのも当然です。

このケースでは強烈な否定の表現を子どもに向かって示すのではなく、例えば、「廊下は大きな足音を立てないように歩こうね」など、望まれることを目で見せる、わかりやすく伝える工夫をすることが必要でした。

上記の3例は、先生の考える「指導」がその子どもに「合っていなかった」ために、子どもが困った状態になったり、パニックを起こしたりしたということです。

学校生活において何か課題が見られるようなとき、子どもの様子に違和感があるときは、先生との個別面談をお願いして、どうしたら子どもが安心できるか、どういう工夫がいいのかを一緒に話し合うことが大事です。

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