“発達特性のある新1年生” 入学前に親がやりたい「4つの準備」を専門家に聞いた

発達障害の専門家が語る「発達特性のある子どもの小1プロブレム」#2~入学前の準備~

一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表・言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也

「入学前に衣服の着脱や片づけなどすべきことがわかると、生活もスムーズに。苦手なことは『克服』するより、手伝ってもらいながらも『達成』していくほうが本人にとって前進に。“困っていたら一緒に考えよう”というスタンスを忘れずに」(原哲也さん)  写真:アフロ
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座っていられない、集団行動が苦手など、発達特性のある新小学1年生。トラブルが心配な保護者が、入学までにできることはあるのでしょうか。

1996年から発達特性のある子どもに関わってきた言語聴覚士・社会福祉士の原哲也さんに聞きました。

※第2回/全3回(#1を読む

原哲也(はら・てつや)PROFILE
言語聴覚士・社会福祉士。一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表理事。1966年生まれ。国内外の障害児施設などで勤務後、2015年「発達障害のある子の家族を幸せにする」ことを志し、一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN、児童発達支援事業所WAKUWAKUすたじおを設立・これまでに5000件以上の相談に対応。

カナダ、東京、長野の障害児施設などで勤務後、児童発達支援事業所を立ち上げた原哲也さんに話を聞いた。  Zoom取材にて

これからお話しすることは、2023年春に新小学1年生になる発達特性のあるお子さんを持つ保護者に、ぜひ実践してほしいことですが、2024年春に入学するお子さんにも、1年かけてやってほしいことでもあります。ぜひ参考にしてみてください。

【準備①】学校の先生にわが子の「関わり方のコツ」を渡しておく

入学前から、子どもの発達特性に気づいている場合は、改めて、困りごとと対策を整理することをおすすめします。そのうえで、学校の先生にわが子のことを知ってもらうために「サポートブック」を作って、授業が始まる前に学校へ渡しておくと、入学後のトラブル回避につながります。

私が運営する児童発達支援事業所「WAKUWAKUすたじお」では、就学前のお子さんの「サポートブック」を保護者とスタッフで作っています。

これは「うちの子はこういう子で、できればこう対応してください」という内容をA4で1枚に記したもので、その子の「関わり方のコツ」です。

子どもの言葉の理解、表現、コミュニケーションなどの状況、得意なことと苦手なこと、感覚の過敏さがあればその内容、そしてそれらについて具体的にどのような応じ方や工夫が望ましいか、といった内容ですね。

例えば「苦手なこと」の項目でいうと、「注意されるときに『ダメ』と言われるのが苦手です」と書いたうえで、具体例を記します。

「この線は曲がっているからダメ、もう1回」→「○○さん、ゆっくり、まっすぐ書こう」というように伝えてください──という感じです。

最大のポイントは、多忙な先生にきちんと読んでもらえるように簡潔にまとめること。
また、小さいころの写真を貼っておくとサポートブックにこめた保護者の想いが伝わるかもしれません。

できればまずは保護者が作り、それを普段から関わっている療育機関などに見てもらってブラッシュアップするといいでしょう。

学校とのやり取りに関しては、校長先生あるいは教頭先生、そして各校には「特別支援教育コーディネーター」という発達障害関連の担当の先生がおられます。入学前の少しの時間でも、子どもについてお話ができると、入学後の連絡帳でのやりとりや、学期ごとなどに話し合う時間の確保をお願いするときに、スムーズにいく場合が多いです。

サポートブックの書式例。  引用:『発達障害の子の療育が全部わかる本』(講談社)

【準備②】親子で小学校生活のイメージづくりを

子どもと一緒にできることもあります。

入学前に親子で通学路を歩いてみたり、学校にお願いして校内や、子どもたちがいる校庭を見に行ったりすることです。子どもと一緒に行くことで、子どもの中に学校というところのイメージができていきます。

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