子どものおちんちんはむくべき!? 7000人の男性器を診たママ泌尿器科医が伝授

ママ泌尿器科医・岡田百合香先生「おちんちんの教科書」#1 ~むく・むかない問題~

泌尿器科医:岡田 百合香

おちんちんに正しく理想的な形はない

何より「男性側に、圧倒的に“むけているほうがいい”という価値観が蔓延しているのが大きな問題」と岡田先生。「男性は“むけ具合”にも、とらわれているんです」と続けます。

「普段は皮をかぶっているけど、いざというときに出る、いわゆる“仮性包茎”だったら問題ない。でも男性には『常時(亀頭が包皮から)出ているのが唯一の正解!』と信じて疑わない人が多くいます」(岡田先生)

岡田先生の著書『おちんちんの教科書』では、「排尿」「勃起」「清潔」の3つの視点から、包茎タイプを3つに分けて解説しています。

俗な表現では「ズルむけ」と言われるタイプA、むくと亀頭の一部が出るタイプB、むいても亀頭がまったくでないタイプCに3分割。  引用:『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)©こしいみほ

「包茎に関しては、あいまいな基準で仮性/真性と乱暴に二分するのではなく、『冠状溝まで出せるのか』『排尿、勃起・性行為、清潔への影響があるか』にくわえて、『個人の価値観やライフスタイル』などの視点を持って、ていねいに区別して考えていく必要があります」(岡田先生)

排尿や性行為に支障があるタイプの包茎でなければ、日常生活を送るうえで問題はありません。

しかし、実際に多くの男性が、おちんちんの状態で、自己肯定感を著しく低下させている事実もある、と岡田先生。「むけている=亀頭に包皮があるか否か」に振り回される風習からは、脱するべきです。

「正常な状態の身体に優劣をつける考え方に囚われるのは、男性だけではありません。女性であれば、胸のサイズや女性器の形を『理想と違う』と感じてコンプレックスに感じている人もいるでしょう。

でも、身体のパーツは本当に人それぞれ。他人と比べて優劣をつけたり、不安をあおる社会や習慣とはおさらばしましょう」(岡田先生)

乳幼児のおちんちんケアで最も議論される「むく・むかない」問題。医学的にみても「無理に剝がしてむく必要はない」ことがハッキリとわかりました。

一方で、「むかなくていいからといって、無関心でいい、放置していいわけではないですよ」と岡田先生。

では、普段の生活で「おちんちん」をどうケアしていけばよいのでしょう。次回は、オムツ替えや入浴の方法などを教わりながら、正しいおちんちんの扱い方について考えます。


取材・文/遠藤るりこ

泌尿器科医であり、男児の母でもある著者が提案する、おちんちんの正しいお手入れと性の新常識を紹介した『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)。実は男性もよくわかっていないというおちんちんの構造や働き、日常のケア、NG例、トイレトレーニング法、トラブル例など、基礎的なことから具体的な実践方法まで、イラスト付きで深く解説。性教育やジェンダー教育にもつながる、子どもへの声かけ例やセルフケアの教え方なども掲載。健やかな男の子の成長に欠かせない情報を詰め込んだ、これからの時代の子育て本です。

PROFILE 岡田百合香(おかだ・ゆりか)
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。

※岡田百合香先生「おちんちんの教科書」連載は全4回。第2回は2022年9月21日、3回は9月22日、4回は9月23日公開予定です(公開日時までリンク無効)。
#2 子どものおちんちん・おまたはどう洗えば正解? ママ泌尿器科医が教える正しいケア
#3 「子どものおちんちん触りやシモネタは止めなくてOK!」泌尿器科医が教える注意すべき規準
#4 「おちんちんはむけてないとダメ!」は間違い! ママ泌尿器科医と考える新しい性の価値観

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おかだ ゆりか

岡田 百合香

泌尿器科医

泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センター...

えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆...