子どものおちんちん・おまたはどう洗えば正解? ママ泌尿器科医が教える正しいケア

ママ泌尿器科医・岡田百合香先生「おちんちんの教科書」#2 ~おちんちん・おまたのケア~

泌尿器科医:岡田 百合香

オムツ替えや入浴時のケアから、プライベートゾーンの教え方、いつまで一緒にお風呂に入っていいか問題までママ泌尿器科医・岡田百合香先生にみっちり教わりました。  写真:アフロ

泌尿器科医・岡田百合香先生は2019年より保護者を対象に「ママのためのおちんちん講座」を開催。今では毎回キャンセル待ちがでるほどの人気です。

そこに集うママたちは、むく・むかない問題(#1)をはじめ、日常のケアに悩んでいます。そして悩んでいるのはママだけではありません。

「母親が息子のおちんちんについてわからないのと同じように、娘を持つ父親も“おまた”について悩んでいるんです」と、岡田先生。

パパが娘のおまたを洗えないとか、女の子のオムツ替えの仕方がわからない、という話もよく聞くといいます。

パパもママも、異性の性器を触ったり見たりする機会が少ないのは当たり前のこと。おちんちんとおまたの日常のケアについて、岡田先生に教えていただきましょう。
※全4回の2回目(#1を読む)

PROFILE 岡田百合香(おかだ・ゆりか)
泌尿器科医。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。男児(2018年生まれ)と女児(2021年生まれ)の母。

拭く? 拭かない? オムツ替え時のケア

ママパパたちが日常的におちんちんやおまたに対峙することになるのは、やはりオムツ替えのタイミングでしょう。

「おしっこをしたあと、女の子は拭くべき、男の子は拭かなくていいなんて声もありますが、これは大人の立場での常識をあてはめたものだと思います。

おしっこは無菌で汚くないので、拭かなかったことが原因で感染症を起こしたりすることはありませんよ」(岡田先生)

万人に対する正解はない、と前置きしたうえで「個人的には男女差なく、『拭かないでよい』と考えています」と、岡田先生。

先生自身も、「息子も娘も、おしっこのときのオムツ替えでは拭いていない」とのこと。

「でも、おしっこの成分が肌の刺激になる子の場合は、拭いたほうがいい。一方で、頻繁に拭いていたことが原因で肌が荒れてしまう子もいるだろうし、こればかりは子どもの体質や肌の強さなどによります」(岡田先生)

では、うんちのときや汚れが気になるときは、どう拭いてあげるのがよいのでしょうか。

「“拭く”というと、こすったり拭き取ったりするイメージがありますが、汚れと水分を取るだけで大丈夫。男の子の場合、特に汚れがたまりやすいのは、次の3つの部分です。

①おちんちんの付け根
②陰囊(いんのう)のまわり
③おちんちんと太ももの間


パーツとパーツの間や、皮膚が重なりやすいこれらの部分は、汚れがたまりやすいところ。ゴシゴシとこすらず、『優しく丁寧に』を意識してあげてください」(岡田先生)

うんちのときや汚れが気になるときは、優しくこの3ヵ所を拭きましょう。  引用:『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)©こしいみほ

おまたの拭き方も、基本的にはおちんちんと同じで「優しく丁寧に」がポイント。

「保護者の方のおまたの拭き方が悪くて、子どもに重大なトラブルが起こることはほぼありません。一日に何回もするお世話だからこそ、あまり気負いすぎずに、気楽にいきましょう」(岡田先生)

石鹼はつける? つけない?

入浴時のおちんちん・おまたケアについても疑問が多く寄せられます。「どう洗ったらいいの?」、「石鹼(ボディソープ)をつけるべき?」などの声です。

「おちんちんの洗い方に関しては、まず次の3つのことを頭に入れておいてほしいです」と岡田先生。

①無理に包皮をむいて内部まで洗う必要はない
②優しく洗い、ゴシゴシ強くはこすらない
③洗ったら包皮を戻す


これをふまえた上で、岡田先生が実践&提案しているおちんちんケアは次の方法です。

「まずは先端以外を、ほかの皮膚と同様に泡立てたボディソープなどで優しく洗います。おちんちんのつけ根や陰囊(いんのう)のシワ、太ももとの境界は汚れがたまりやすいので、指で念入りに洗いましょう。

先端部分は、包皮を引き下げられる範囲で優しく下げ、泡を少しだけつけて軽く洗い、流します」(岡田先生)

無理なく皮を引き下げて洗います。力を入れずに優しく扱えば大丈夫!  引用:『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社刊)©こしいみほ

ボディソープの使用については、「これも子どもの体質や肌質、性格や好みによるので、つけてもつけなくても問題ない」とも。

「ポイントは、無理なく皮を下げて洗い、洗ったら皮を戻すこと。子どもが自分で洗えるようになってきたらこのやり方を教えてあげてください」(岡田先生)

女の子の性器は目で確認しながら洗うのがなかなか難しいですが、ひだの隙間(小陰唇と大陰唇の間)は、うんちや汚れがたまりやすい部分でもあります。

「年齢によって洗うときの体勢も違うので一概には言えませんが、我が家では可能なときは指先にガーゼを巻いたり、綿棒を使うなどして丁寧に洗うようにしています。

子どもが嫌がったり、大人しくしていないときは無理して洗おうとしなくても大丈夫。石鹼はつけずに、外性器部分を優しくざっと洗い流しましょう。膣の中は洗ってはいけません」(岡田先生)

無理せず怖がらず 毎日のケアを

ケアをする際に「どう触ってよいかわからないし、怖い」というママもいると岡田先生は話します。

「多くのママが『触るのが怖い』と言うのは、『自分が触ったせいで何か起こったらどうしよう』ということだと思います。

力をいれすぎず、子どもが痛がらない範囲であれば、その触り方が原因でバイ菌が入ってしまったり、どうしようもないケガをさせることはないから大丈夫です」(岡田先生)

無理なことをしなければ、問題が起こるリスクは低いので安心したうえで「少しずつ慣れていくしかない」と岡田先生。

「実はうちの娘も、入浴を夫にまかせると『全然洗えてないじゃん!』ってこと、ありますよ(笑)。でも、専門家や医療従事者でない限り、なかなか異性の子どもの性器を触る機会なんてなく、最初からうまく触れる人はいないんです。

『とにかく清潔にしてあげないと!』と過剰に思わないようにしましょう。保護者の洗い方が悪くて、子どもに不利益が起こることはほぼありません。あまり難しく考えず、家族で充実したお風呂タイムを送れるといいですね」(岡田先生)

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