「お前ならできる!」期待に応え続けた優等生の息子が… 高校受験「不合格」で壊れた夏〈前編〉

(2/3) 1ページ目に戻る

届かない合格ライン それでも「俺ならやれる」

息子が中学3年生になり、いよいよ高校受験を意識する時期がやってきました。志望校として掲げたのは、祖父の出身校でもある地元トップレベルの公立高校です。学校の成績も優秀な息子は、周囲から「楽勝で入れるだろう」と言われていました。

ところが息子は、定期テストの成績は良いのですが、模試の結果はずっと「C判定」なのです。毎回、合格ラインに届くか届かないかの瀬戸際。

三者面談では、担任の先生から「少しランクを下げて、確実に狙える高校にしたほうがいいのでは……」と助言を受けました。それでも息子は、頑なに志望校を変えようとはしません。「近くの私立高校でもいいんじゃない?」と私たち夫婦が伝えても、「大丈夫、俺ならやれるから」と返すばかりでした。

夏休みに入ると、息子は受験に向けてさらに勉強に打ち込むようになりました。友だちと遊びに出かけることはなくなり、朝から晩まで自室の机に向かう毎日。リビングに降りてくるのは、トイレと食事のときだけでした。

それだけ勉強に時間を費やしているにもかかわらず、夏の模試の結果は思うように伸びませんでした。頑張っていることは伝わってきましたが、その反面、どこか自分を追い詰めすぎているようにも見えました。

これまで祖父から繰り返し「お前ならできる」と言われてきた息子は、その言葉を心の支えにしているようでした。けれど、模試ではなかなか結果が伴いません。それでも「俺ならやれるから」と言い続ける息子を見ていると、期待を背負って無理をしているのではないかと、不安で胸がいっぱいになるのでした。

「つらいなら、志望校を変えてもいいんだよ」という言葉が、何度も喉元まで出かかりました。それでも、私は決して口にはしませんでした。代わりに「あと少しだよ。本当に毎日頑張ってるね」と声をかけ、息子を励まし続けたのです。

「本当は頭が良くないのかも」自信を失っていく息子

イラスト:1日1鶏
すべての画像を見る(全3枚)

夏休みも後半に差し掛かるころ、息子は以前のように笑わなくなっていました。それどころか、部屋からは時折、「ドン!」と机を激しく叩く音が聞こえるようになったのです。「なんでなんだよ!」という苛立った声が聞こえることもありました。

そんなある夜、息子が模試の結果を見つめながら、小さな声で「俺、本当はみんなが言うほど頭良くないのかも」と漏らしたのです。

それからというもの、息子は部屋にこもって、勉強に集中する時間がさらに増えました。下の弟たちも「お兄ちゃん、ずっと勉強してるね」と言うだけで、気軽には話しかけられなくなっているようでした。

心配になった私は、「あなたは十分頑張っているよ。少し力を緩めたら?」と声を掛けることもありました。それでも息子は「……いや、大丈夫。まだやれるから」と言うだけ。自室に戻り、また机に向かうのでした。

▶︎頑張るわが子に渡したいものは?

君の火がゆらめいている

君の火がゆらめいている

落合 由佳(著)

発売日:2025/11/27

価格:定価:本体1500円(税別)

結果は合格? 不合格?
22 件