息子が教えてくれた大切なこと
あの過酷だった受験から1年が経ち、ようやく息子は以前の息子らしさを取り戻しました。軽音部のライブの話をしたり、高校で新しくできた友だちと出かけたり、高校生活を楽しんでいるようです。
あのころの息子は、周囲の期待に応えようと必死でした。成績だけを見れば、今のほうが評価は下がったのかもしれません。それでも私は、今の息子を見ているほうが、ずっと安心できているのです。
受験生だったあの夏、息子は「できない」「苦しい」と言えないまま、必死に頑張っていました。でも、時に、周囲からの励ましは「結果を出せない自分は、愛してもらえない」という、間違ったメッセージとして子どもに届いてしまうこともあるのではないでしょうか。
大切な人たちからの期待を感じるからこそ、その人たちのために頑張ろうとする。それ自体は、悪いことではないのかもしれません。
ただ、親はつい「この子はこういう性格だから」「きっとこう育つはず」と、自分なりの理想を重ねてしまいがちです。子どもの成長は本来、親の想像どおりにはいかないものなのに。
親としてうれしいのは、親の思いどおりに育つことではなく、その子がその子らしく成長してくれること。そんな大切なことを息子は体を張って私たちに教えてくれたような気がしています。
文/構成・橘サチ
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