「俺だって頑張ったよ」高校受験で不合格… “優等生の息子“が金髪に染めたワケ〈後編〉

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少しずつ変わり始めた息子

その後、少しずつではありますが、息子は新しい高校に慣れてきたように見え、私は安堵していたのですが……。ある日、学校から帰ってきた息子を見て驚きました。髪を金色に染め、強めのパーマまでかけてきたのです。

染髪や私服での登校など、自由な校風が売りの私立高校だということは知っていましたが、まさか自分の息子が髪を金髪に染めるなんて、私は想像すらしていませんでした。

さらに、保育園のころから続けてきた水泳を辞め「軽音部に入る」と言い出したのです。服装も派手なスタイルへと変わり、帰宅時間も次第に遅くなっていきました。

変わってしまった孫(息子)の姿を見た祖父は「なんだその格好は!」と激怒。夫も「どうしちゃったんだ……」と戸惑いを隠せません。

私も最初は「受験の失敗による反動で、自暴自棄になっているのではないか」と不安になりました。しかし、家での息子の様子を見ていると、以前と変わらない優しさも感じられます。

下の兄弟が宿題で困っていれば相変わらず優しく世話を焼くし、私がスーパーで重い荷物を持っていれば、何も言わずにひょいと持って運んでくれることもある。家族に向けるおっとりとした笑顔や、根底にある優しさは、昔のままでした。

ある日、私が思い切って「最近、少し変わったよね」と声をかけると、息子は少し考えてからこう言いました。

「別に、悪いことしたいわけじゃないよ。ただ、ずっと“ちゃんとした自分”でいるのが疲れただけ」

その言葉を聞いて、私はようやく気づきました。息子は、周囲の期待に応え続ける「優等生」でいることをやめ、自分らしく振る舞うようになっただけ。少なくとも私には、そんなふうに見えたのです。

祖父との衝突「俺だって頑張ったよ」

イラスト:1日1鶏
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しかし孫の変化を受け入れられなかったのか、父は会うたびに私に小言を言うようになりました。それだけでは飽き足らなかったようで、週末のある日、実家からやってきた父が、息子を捕まえて強い口調で説教を始めました。

「昔のお前は、そんなんじゃなかった。もっとしっかりしている、良い子だったじゃないか。俺はお前に期待していたんだ! それなのに、お前は……」

息子はしばらく沈黙したあと、小さな声でこう呟いたのです。「……俺だって、頑張ったよ」

その瞬間、私の胸がギューッと苦しくなりました。そうだ、この子は十分頑張ってきた。結果が不合格だったというだけじゃないか。

友だちが遊んでいる間も、大人の期待に応えようとして頑張っていました。それなのに、私たち大人はというと、そんな頑張りを認めることをせず、「お前はもっとできる」「お前なら大丈夫だ」とハッパをかけ続けてきたのではないだろうか。

「お父さん、もうやめて!」私は初めて、父に向かって声を荒らげました。「この子はもう十分頑張ったの。これ以上、責めないで!」

父は、初めて見る私の反抗に驚いたようです。そして、何も言い返すことなく、わが家から帰っていきました。

もちろん父に悪気はなかったはずです。むしろ、孫のことを誇らしく思っていたからこその言葉だったのだと思います。ただ、「すごいね」「お前ならできる」という期待は、ときに励ましにもなれば、プレッシャーにもなる。そのことを私は初めて実感したのです。

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変わってしまった息子は…?
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