「国際バカロレア」認定校 注目の「中高一貫校」の取り組みを独自取材! 教員が一方的に教えることはない?

「国際バカロレア連載」 #3 MYP認定校『さいたま市立大宮国際中等教育学校』

極力教えず 問いを投げかける

──具体的にはどのような授業をされているのでしょうか?

関田先生:端的に言えば、極力教えない、ということです。アメリカの研究機関が発表した理論に「ラーニング・ピラミッド」というのがあります。

これによると、先生が一方的に講義するだけの授業では、教わった内容の5%しか定着しないとされています。それが、自分で選んだ本を読むことで10%に、話し合うことで50%に、体験することで75%に、他の人に教えることで90%まで定着率が上がっていくとされています。

本校でも、教員が一方的に何かを教えるということはほとんどありません。

学習指導要領で定められている内容を教科書どおりに教えるのではなく、子どもたちが関心を持つようなテーマに関連づけて問いを投げかける。そして、調べ学習やディスカッション、プレゼン資料の作成など、さまざまな活動を通じて、自分で学びを深めていけるようにカリキュラムを組んでいるのです。

「現行の学習指導要領を忠実に具現化しようとすると、国際バカロレアのカリキュラムほど最適なものはないのです」と関田校長先生。
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──基礎的な知識がないと学習が行き詰まってしまうこともあると思うのですが……。

関田先生:多くの方がそう考えると思いますが、果たして本当にそうでしょうか? 基礎的な力とはどこまでをいうのか、また、従来型の一斉授業をしていれば本当にすべての子どもが基礎的なことを身につけられるのでしょうか?

アクティブ・ラーニングという言葉が普及してずいぶんたちますが、なかなか実践が広がらない理由は、「基礎的なことを教えないと学べない」という思い込みにあると思うのです。基礎的なことをすべて一から教えようとすると、とてもアクティブ・ラーニングに取り組む時間なんてありません。

開校に当たり、各教科の教員と共に学習指導要領の内容を国際バカロレアのカリキュラムに組み直した。「先生方には、上手に教えることではなく、学びの支援者になることを常に意識してもらっています」(関田先生)。

関田先生:もちろん、読み書き計算など小学校で学んだおおよそのことを理解できているというのは前提です。

しかし学び方というのは、本来とても自由であり、一人ひとり違うものです。学んでいくなかでわからないことにぶつかっても、知りたいという想いさえあれば、調べたり人に聞いたりして、自分でどんどん知識を増やしていけるのです。

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