中学受験「国語」読解力アップ3大秘訣 出題小説を受験塾教室長が徹底解説

中学入試国語 3年間で5冊36件も出題された講談社の小説をていねいに分析

「入試頻出の作家・作品」について

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「入試によく出る作家の作品はどこまで読んだほうがいいのですか」

「学校説明会で最近出版された書籍の中から出題すると言われたのですが何を読めばいいのですか」

などと聞かれることがあります。そういった質問に対して私はいつも「もし子どもに読書する時間の余裕があれば、その子の興味のあるものをたくさん読んでください」と答えます。

全然答えになっていないではないか、とお叱りを受けるかもしれませんが、そう答えるのにはきちんとした根拠があります。

それは、「たとえ既読の文章が出題されても、それが絶対的に有利に働くとは限らない」からです。

無理やり読むのは意味がない!?

「以前読んだことがある」というのは漠然とした記憶でしかなく、中身を一言一句漏れなく覚えているわけではありません。

ですから、そのおぼろげな記憶を頼りに文章を読んでいくと、そこに主観が入ってしまい、冷静で客観的な読解ができない危険性があります。

むしろ初見の文章のほうが、内容を事前に知らないので、正しい手法に基づいた読解ができるのです。

つまり、「既読の文章こそより慎重な読解が必要」なのであり、そういった機会を無駄に与えることは避けたいと思っている、というのが本当のところです。

とはいえ、その文章が書かれた背景を知るという意味で、頻出の作家についての知識を得ることは決して無駄ではないでしょう。

その一環として、作家の代表作に触れるというのならばよいと思います。ただし、あくまで「子どもの興味の範囲内で、時間に余裕があった場合のみ」行ってください。

読みたくもないのに、無理やり子どもに読ませることだけは避けてほしいと思います。

過去3年(2020年から2022年)で入試頻出の本をランキングにしたもの(物語文に限定)。2022年 akira調べ

国語と子どもの精神的な成長度合い

国語の得意・不得意を決定する要素はいくつかありますが、中でも「子どもの精神的な成長度合い」は客観的なものの見方を必要とする国語の出来に大きく影響します。

そこが国語力アップの妨げとなっているケースは多分に想定できます。

ただし、経験上、子どもはある時から突然精神的な成長を見せることがあります。特に6年後期あたりからそのような傾向が見られます。

こればかりは、本人の内面からの変化を辛抱強く待つしかないのですが、与えられた記述の課題に対して、どんなに的外れな内容であっても決してあきらめず、内容のズレを地道に正す作業を積んでいくことにより、徐々に本文の内容に則した答えが書けるようになります。

そして、そこに精神的成長が加われば、それこそ急激に国語力が向上するというのは十分あり得ることですから、子どもの自立を促すよう、近すぎず、かといって遠すぎない適度な距離感を持った接し方を心がけるとよいでしょう。

読書自体が追体験であり、貴重な経験になります。心から読書を楽しめるよう願っています。まずは親子で近くの書店に行ってみませんか。

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アキラ

akira

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大手進学塾 現役教室長

学生時代から塾講師として中学受験指導に携わり、大学卒業後は塾業界に就職。2023年、関東圏にある現在の教室に室長として就任。保護者や生徒に対するきめ細かいコミュニケーションを重視した教室運営を行うことにより、御三家をはじめ、早稲田、渋谷幕張の合格者数は高い進学実績がある。SNSでも独自の学習指導法を公開している。保護者はもちろん、塾関係者からもそのノウハウに注目が集まっている。 X(旧Twitter):@AArukikata

学生時代から塾講師として中学受験指導に携わり、大学卒業後は塾業界に就職。2023年、関東圏にある現在の教室に室長として就任。保護者や生徒に対するきめ細かいコミュニケーションを重視した教室運営を行うことにより、御三家をはじめ、早稲田、渋谷幕張の合格者数は高い進学実績がある。SNSでも独自の学習指導法を公開している。保護者はもちろん、塾関係者からもそのノウハウに注目が集まっている。 X(旧Twitter):@AArukikata