思春期の子が勉強嫌いに! 「気をつけたい親のひと言」をカリスマ塾講師が解説

小学校高学年からの勉強と親の接し方を教えます! 中学を見据えた子育て#3

勉強とほかのこととの両立ができなくなったらどうする?

勉強そっちのけで部活や趣味に夢中になるのも、親としては悩みどころです。この問題にも大塚先生が回答してくれます。

勉強よりも部活や趣味が優先になっているときはどうすればいい?

部活や趣味、遊びなど、夢中になれるものがあることはとても素晴らしいことです。

親としては勉強との両立ができないことに不安を覚えますが、私は塾に相談にいらっしゃる親御さんには「中学生時代に熱中していることは簡単には奪わないでください」と伝えています。

これは私の持論にもなりますが、大人になったときにやりたいことが見つからなかったり、一芸と呼ばれるような誰にも負けないものを持っていなかったりする人は、思春期に「好き」を奪われた子だと感じています。

「ダルい」の言葉ばかりを口にする子のエピソードでも紹介しましたが(#2を読む)、子どもは夢中になれる体験から集中力を高めたり、何かを追求する快感を味わったりします。

ですから、熱中していることには親御さんは「そんなことまでできるんだ!」など、プラスの声かけをしてあげてください。あるいは子どもの話を聞いて、同じ感覚で会話をするのも親御さんにしてほしいことです。

勉強に関してはこれもシリーズを通して何度も解説していますが、コーチに役割を譲りましょう(#1を読む)。

子ども自身は勉強をやらなければいけないと頭の片隅ではわかっていますから、コーチに頼んで勉強と趣味にはメリハリが必要なことやけじめのつけ方をアドバイスしてもらいましょう。

部活はやり切るから勉強への力にもなる

運動部でも文化部でも、部活動は基本的に中学3年生の夏ごろに終わりを迎えます。

塾にもスポーツばかりしていて高校受験が心配という親御さんが相談にいらっしゃいますが、私は「部活に力を注ぐ時期なら今はやり切ることが大切です。ここで頑張れなければ、いざ勉強に向かったときに100の力を出せないですよ」と伝えています。

中学生はそれほど器用ではありませんし、ある時期に全パワーを部活に注いで完結させてあげなければ、それ以降に勉強に切り替えていけません。逆に部活を成し遂げた子ほど、活動で得た意欲や集中力を勉強にすんなりと移行できるといえるでしょう。

熱中することは悪いことではありません。親御さんは勉強のことが心配になりますが、好きや得意は応援してあげることが大切です。部活動が一段落したら、子どもはその頑張りを勉強に注いでいくはずですからどうか見守ってあげてください。

中学生時代は、何かに夢中になることは悪いことではありません。写真:アフロ

学校に遅刻するようになったときの親の対応法とは?

親御さんが朝、子どもを一生懸命に起こしているケースがありますが、特に中学生になったら何度も声かけすること自体がNGです。勉強と同様に生活面も自立していくことが大切ですから、子どもが朝、起きてこなかったとしても放っておきましょう。

遅刻してそれで困るのは子ども本人です。評価のことをいうなら、それを落とす原因も自分で作っています。

生活では、制服が脱ぎっぱなしであるとか汚れたお弁当箱を出さないという場合も同様です。制服も子ども自身に片づけさせ、お弁当箱を出さなかったら自分で洗うように促しましょう。

もし子どもが自分で行動せず、翌日にシワシワの制服のまま出かけても、お弁当が用意されていなくても「あなたの行動が招いたことです」と言って、親御さんが子どもに自立した対応を求めていることを伝えましょう。

子どもに注意をするときは淡々と言うことも大切です。また、何度伝えても行動を正さないときはコーチにも援護を頼みましょう。

私も親御さんから依頼を受けて遅刻しがちな子をいさめることがありますが、子どもに注意をするときは淡々と伝えるようにしています。

例えば「遅刻が多いと聞いたけれど、それは君が時間を守らなくても構わない、そういう人間になってもいいと思っているからだよね。私はいろいろアドバイスはするけれども、これからどういう行動をとっていくべきか、取捨選択するのは君だからね」と伝えます。

子どものことを思うなら、これからは自立を促す子育てが必要です。その過程で子どもは痛い目に遭うこともありますが、それが自分を律する力になっていきます。

我が子でも子どもは一個人である!

子育ては見返りを求めないことが大切だと大塚先生は話します。

「子どもが幼いときは、笑顔やかわいさや素直さが育児の見返りとしてありましたが、小学校高学年になり中学生になると次第にそれがなくなって、親は見返りを成績などほかのことに求め始めます。

そして、見返りが思ったようにないと子どもが育っているのかどうかわからなくなり焦りを感じ始めます。

しかし、子育てはそもそも見返りを求めること自体が無意味です。それよりも、子どもが自分の足で歩んでいけるように、見返りを求めることなく応援してあげることが大切です」(大塚先生)

特に子どもが思春期を迎えているなら、これからは子どもを親御さん自身のこととして捉えるよりも、一個人と考えてほしいと大塚先生は話します。我が子であっても親とは別の人間で、お父さんお母さんが歩んできた人生を子どもが歩くとは限りません。

子どもには子どもの未来がありますから、親ができることは我が子が好きな道を自分で歩いていけるようにサポートすることです。

そのためにも、これからを見据えて自立できる子育てに変えていくことが子どもの幸せにつながっていきます。

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大塚 剛史
花まる中等部部長。スクールFC教務部副部長。筑波大学第一学群社会学類卒業。大学時代に中学生や高校生の家庭教師を始める。その経験から現代の教育に強い問題意識を持ち、子どもたちに自学できる力と将来を見据えた自立する力を与えたくて花まるグループにて教育に携わる。現在は子どもの勉強の指導だけでなく、年間1000回の面談を行って生活面もアドバイスしている。また、保護者に向けて思春期の子どもについて子育てアドバイスや講演を行っている。

【主な共著や監修書】
『だれもが直面することだけど人には言えない 中学生の悩みごと』
『中学生 中間・期末テストの勉強法』
『中学生 高校入試のパーフェクト準備と勉強法』(すべて実務教育出版)


取材・文/梶原知恵

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