お受験ママ友と良好な関係を作る知恵「夫」「ガラケー」「ほどよい距離感」

庶民嫁が見た! 受験本ではわからないTOKYOお受験の裏側⑦

ライター:華子

ママ友トラブルを避ける最強のツールとは

とはいえ、なかには、もはや同じ空間にいるのも避けたいほど苦手なママがいるかもしれません。そういう場合は、角を立てずに、必要最低限の関わりだけですませられる、ナイスなワザがあったのです。

あるとき、幼稚園の中でリーダー的存在のママから「LINEグループを作ろう」という話があがりました。「フルフルする?」「QRコードでいい?」などと言いながら、みんなゴソゴソとバッグの中を探し始める。そんなとき、いつも品行方正、才色兼備で憧れの“素敵ママ”が、優美な手つきで高級バッグから取り出したのが、なんと、現在では生産・販売停止され、あと数年で絶滅するといわれている、あのパカッと開く“ガラケー”だったのです。

「それだと通話かメールですね……」
時が止まったかのように、スマホを構えて固まるママたち……。

しかし、実はこのガラケーこそ、災いを避ける“秀逸なサバイバルアイテム”だったのです。
まず、ガラケーの場合、連絡手段が通話かメールになるので不要不急の連絡は来ません。LINEグループ内で行われる井戸端会議に参加することもなければ、その中で勃発するマウント争いも蚊帳(かや)の外。ママ友の自慢ブログだって目にしなければ心の平安を保てます。今の時代、争いの火種は、地上よりオンライン上の方に転がっている方が多いとも言えますから。

実際、その“素敵ママ”は、よけいな争いごとに巻き込まれることもなく、これといった敵も作らず、ただ一人無傷なサバイバーとしてお受験期を乗り切りました。つまり、子ども中心の社会という特殊環境に生きるママにとっては、大人社会でよく使われる“相手にしない”という能動的手法をとるよりも、“相手にされない”という受動的方法を身につける方が、サバイバル術として有効的だったのです。
(追悼:3Gのガラケーは2024〜26年で電波供給ストップといわれています。ママ友界で優れたサバイバルアイテムだったガラケーが、携帯界でサバイバーとなれなかったことは大変残念でなりません……)

お受験末期に恐るべしラスボスが出現!!

しかし、お受験も佳境に入る年長ぐらいになってくると、追いつめられて本性が出てくるのか、眠っていた魔性が現れてしまうのか、それまで柔和だったママが徐々に、もしくは突然、恐ろしい怪物(モンスター)に変貌することがあります。それこそがお受験界にひそむ、もっとも手ごわいラスボスです。

例えば、お受験界には「決して他人に受験番号を知られてはいけない」という基本のルールがあります。それは、一説によると、過去に「仲が良かったママ友が、本人になりすまし、受験校に『試験辞退』や『合格辞退』の申し入れをしたことがあった」からだというのです。にわかには信じられませんが、人間追い込まれると、何をするかわからないもの。こんな犯罪まがいのことをするほどまでにヒートアップしてくるのが、お受験の末期なのです。

そういったモンスターからの被害にあわないためにも、通常、お受験ママたちは受験が終わるまで深い関わりは避けます。それは、余計なことにエネルギーを使うことなく、お受験に集中するため。だからほとんどのママは、普段、ほどよい距離感を保って過ごしています。

でも、どうしても重圧に耐えられなくなったときに頼れるのは、やっぱり同じプレッシャーを感じているお受験ママ友です。お教室の先生からの無慈悲なダメ出しに耐え、無邪気な子どもに翻弄(ほんろう)されつつ日々のノルマを果たし、なぜか部外者をよそおうとする夫を再教育する。

その並ならぬ苦労を分かち合えるのは、なんといっても同じ道を志し、同じ悩み、同じ苦しみをかかえているお受験ママだけ。ライバルでありながら、共に艱難辛苦を味わう“同志”だからこそ、ときには協力し合い、悩みを打ち明け、慰め合える、心強い“味方”になるのです。
そう、お受験ママたちにとって“ママ友”は、実は「敵」ではなく、「戦友」だったのです。

〜華子が学んだお受験ママ間のサバイバー術〜

1 話題に困ったときは 夫の愚痴を投入

2 やっかいなママには「相手にしない」より「相手にされない」対策を講じる

3 連絡手段は旧式であればあるほど災いを避けられる

4 ママ友はライバルではなく戦友。敵対するより共に戦う仲間として情報交換をしたり、支えあう方が得策

※この記事は、ライター華子の個人的体験及び感想に基づくものです。私見のため、一般的な見解とは異なる場合があります。また、一部については創作的表現が含まれております。

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はなこ

華子

ライター

ライター。一般的なサラリーマン家庭で育ち、公立で小・中・高を過ごす。都内の大学卒業後、プチセレブな夫と出会い、結婚。女児の母。庶民との差に日々驚きつつも、平然なふりを装ってアセアセと暮らしている。 TOKYOお受験の裏側

ライター。一般的なサラリーマン家庭で育ち、公立で小・中・高を過ごす。都内の大学卒業後、プチセレブな夫と出会い、結婚。女児の母。庶民との差に日々驚きつつも、平然なふりを装ってアセアセと暮らしている。 TOKYOお受験の裏側