
子どもの【耳・鼻・のどの病気】鼻をほじるのは癖じゃなくて病気の可能性 〔耳鼻咽喉科専門医が解説〕
癖からわかる 子どもの耳・鼻・のどの病気 #1
2025.06.27
子どもは耳・鼻・のどの病気にかかりやすく、治りも悪い
中耳炎を繰り返したり、副鼻腔炎がなかなか治らないというお子さんもいるのではないでしょうか。
耳鼻咽喉科専門医の工藤先生は、子どもは大人よりも耳・鼻・のどの病気にかかりやすく、同じ病気を繰り返す、あるいは治りが悪いことが多いと話します。
「子どもが耳・鼻・のどの病気にかかりやすい理由のひとつには、耳鼻喉頭の構造上の問題があります。
聞こえが悪くなったり、耳痛があったりする中耳炎は、特に子どもがかかりやすい病気のひとつです。これを例に、なぜかかりやすいかを説明をすると……。

中耳炎は、鼻から耳管という管を通って、中耳にある鼓室(こしつ)に細菌などの病原体が侵入して感染を起こすと発症しますが、極端にいうと大人の耳管は縦、子どもは横につながっているイメージです。
子どもは大人よりも鼻から耳にバイ菌が入りやすい構造(角度)になっているため、中耳炎にかかりやすいといえるでしょう」(工藤先生)
子どもの免疫機能の未熟さも病気を繰り返す理由
病気を繰り返したり、なかなか治らないのは、子どもの免疫機能が未熟なことも関係していると工藤先生は続けます。
「免疫機能は成長の過程で徐々に高まっていくものなので、もとより子どもは感染を繰り返す傾向にあります。
また、ネバネバの鼻水が出るなどの症状が見られる副鼻腔炎を例にすると、鼻にバイ菌が入っても、子どもは鼻腔が狭く、うまく鼻かみもできないので、鼻の中のバイ菌量をなかなか減らせません。
これが病気を繰り返す、あるいはなかなか治らない原因です」(工藤先生)
中耳炎や副鼻腔炎は自然治癒は期待できない! だから大人になっても再発する!
病気によっては、日にちが経つとすっかり治ったり、大人になると症状が軽くなったりするものもありますが、耳・鼻・のどの病気は自然に治ることは少ないそう。
「特に、中耳炎や副鼻腔炎は、自然治癒は期待しないほうがいいでしょう。
治るとしたら治療をした結果になりますし、治療が中途半端であれば成長してからも再発します。実は今日の外来診療でも、風邪から中耳炎や副鼻腔炎に再びかかったという大人を診ました。
これらの病気にはワクチンがありませんので、もしお子さんが発症した場合は耳鼻咽喉科で診療を受けて、治療を行うことが大切です。
また、治療を中途半端にしないことも重要です」(工藤先生)
治療をしなかったり、治療をしても中途半端だったりすると、学習態度や学習自体にも影響が出てきます。子どもが小学生であれば、学校生活への影響はもっとも避けたい事態です。