
子どもの【耳・鼻・のどの病気】鼻をほじるのは癖じゃなくて病気の可能性 〔耳鼻咽喉科専門医が解説〕
癖からわかる 子どもの耳・鼻・のどの病気 #1
2025.06.27

勉強が遅れるのは耳の病気が原因のことも
小学生の場合、耳・鼻・のどの病気にかかっていることを親御さんが気づかない、あるいは学校健診の結果を無視していると、我が子の学校生活は過ごしづらいものになります。
「たとえば、学校の先生から忘れ物が多いとか、授業中にボーッとしているとか、隣の子の行動を見てようやく動き始めるといったことを何度か連絡を受けているのであれば、耳の聞こえに問題がある場合があります。
我が子が幼稚園や保育園、あるいは小学校に入ったばかりなら、行動がワンテンポ遅れても、忘れ物が多くても、個性や不慣れで片づけられることもありますが、学年が上がるにつれて状況は深刻化するでしょう。
耳の聞こえが悪い子は、先生の声は言葉ではなく、音でしかないため、授業の内容がわからない、指示がわからないという状況になります。
生活態度に影響が出るだけでなく、勉強も遅れていくので、いろいろな意味で学校生活の中で目立ってきます」(工藤先生)
子どもの日常が教える「耳の聞こえ」
工藤先生は子どもが不自由な生活を送らないためにも、学校健診の結果は真摯に受け止めて、必要であればできるだけ早く病院を受診するほかに、子どもの日常にも注意を向けてほしいと語ります。
「耳の聞こえが悪いケースでいうと、そういった子どもは、テレビの音が大きいというわかりやすい傾向があります。また、親に注意されて音量を小さくすると、聞こえないので、今度はテレビの近くに寄って画面を見るという行動が見られます。
親御さんはそれを、我が子の悪い癖やいつもの様子だと思わずに、どうか、このような子どもからのサインを見逃さないでください」(工藤先生)
耳だけでなく、鼻をほじる、鼻をすする、いびきが大きいといった耳・鼻・のどに関することは、子どもの癖や日常としてとらえている親御さんも多く、病気と認識する方が少ないのが現状です。
しかし、子どもは何かしらの症状の影響で、その行動をとっている場合があります。次回からは、日常に埋もれている子どもの仕草や様子の中から、耳・鼻・のどの病気を見抜くポイントと、日常生活の注意点を紹介します。
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◆工藤 典代(くどう ふみよ)
耳鼻咽喉科専門医、気管食道科専門医、医学博士
大阪大学医学部卒業後、千葉大学医学部耳鼻咽喉科に入局。千葉労災病院、国立千葉病院、千葉県がんセンターなどで研修する。その後、国保成東病院耳鼻咽喉科初代医長や千葉県こども病院初代部長、千葉県立衛生短期大学(教授)、千葉県立保健医療大学健康科学部(教授)を経て、現在はアリス耳鼻咽喉科の院長。千葉市立中学校や小学校の学校医も務めている。著書に『子どもがかかる耳・鼻・のどの病気百科』(少年写真新聞社)など。
【癖からわかる 子どもの耳・鼻・のどの病気】の連載は、全3回。
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※公開日までリンク無効
取材・文/梶原知恵