
出産費用が保険適用で多くの病院・クリニックが分娩取り扱いが中止に!?
一方で、この制度には課題もあります。
まず考えなければならないのが、お産を支える医療機関の負担です。今、日本の医療現場は少子高齢化の影響もあって、どこも人手不足が深刻化しています。とくに地方では、すでに「医療崩壊寸前」といわれる地域もあります。
そのなかでも産婦人科は、昼夜を問わずの分娩に対応する必要があり、医師やスタッフにかかる負担がとても大きい診療科のひとつです。
しかも、医療は公的医療保険制度に縛られているため、料金を自由に設定することができません。人件費や光熱費の高騰が続く中で、多くの病院が経営的に厳しい状況に置かれています。

そんななか、日本産婦人科医会が発表した調査によると、多くの病院・クリニックが「出産費用が保険適用になった場合、分娩の取り扱いをやめる」あるいは「制度内容によっては中止を考える」と答えていることがわかりました。
医療機関が分娩取り扱いを中止する動きが広がれば、地域によっては「出産できる場所がない」という深刻な事態にもなりかねません。