「誰よりも漫画を読んできた」ことが子どもの強みになった! 漫画研究家の父親の漫画の与え方とは?

「漫画研究家の本棚」 #3 京都精華大学マンガ学部教授・吉村和真先生

好成績の国語は漫画の影響だった!?

──息子さんを見ていて、「漫画の影響だろうな」と思うところはありますか。

吉村先生:国語の成績は、びっくりするほどよかったですね。あと中学生のころから、漫画の感想やあらすじを読んだら話してくれるようになったのですが、文脈を整理したり、端的にまとめたりするのがだんだんうまくなっていきました。

小説や映画とは違った、漫画でしかできない表現を言語化するのには、実は結構な訓練がいるのですが、息子は自然とそれを体得していったようです。

それから、漫画で多く描かれているからか「青春したい!」という気持ちが強いようで、高校は運動会や文化祭に力を入れているところを探して進学。さらに応援団に入ったり、文化祭の出し物で脚本を書いたりと、高校生時代はいろいろと活動していましたね。

正直、活動的なタイプではないので意外でしたが、「青春」という時間の貴重さを、漫画を通じて感じていたんだと思います。高校卒業を目前に控え、「これで子どもの時代は終わるんだな……」と呟いていたのも面白かったですね(笑)。

──息子さんが漫画好きになってよかった、と思うのはどんなときですか?

吉村先生:自分が漫画で仕事をしているので、漫画について息子があれこれ話してくれるのがやっぱり嬉しいですね。

漫画を読んでいる総数はまだ僕のほうが多いと思いますが、息子もどんどん守備範囲が広がっていて、スマホで読める作品などは彼のほうが圧倒的に詳しくて。そして「面白かった」と薦めてくれる漫画は、確かに面白いんですよ。息子の意見を参考にすることが多くなりましたね。

漫画というのは、“読む”“描く”に加えて“語る”のが第三の楽しみと言われているのですが、今、漫画を語る楽しさを家族と共有できるのが、とてもありがたいなと感じています。

国際的コミュニケーションにも漫画は強い武器に

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