
「マイクラ」好きの小学生に爆売れ中! まいぜん・ドズル社・ちろぴの・カラピチ 児童書・学習本が売れる本当の理由を担当編集者が明かす
子どもの人生初の「推し」を活用して学びを伸ばす方法
2025.08.22

──動画クリエイターの書籍をつくろうと考えたきっかけを教えてください。
講談社 児童図書出版部 澤有一良さん(以下、澤):私と中西さんは、3年前に同業他社から転職してきた同期で、つねづね「児童書作戦会議」をしています。社内でばったり会ったときに「あの本、売れてるよね」などと話す井戸端会議のようなものですが、ついつい熱くなって話し込んでしまうんです(笑)。
動画クリエイターさんの書籍のアイデアが出たのは、2023年の年末ごろだったでしょうか。他社から刊行された動画クリエイターさんの児童向け小説がヒットしたんですよね。
講談社 幼児・学習図書出版部 中西亮太さん(以下、中西):そうです。僕は澤さんと話をするのとは別軸で、企業を対象としたクリエイターの展示会で、動画クリエイターさんの可能性を感じていました。コンテンツをより面白くするのはもちろんのこと、子ども向けのコンテンツとしての配慮をしっかり取り組んでいらっしゃるなという印象だったんです。
澤:私も何人かの動画クリエイターさんにお声を掛けさせていただきましたが、動画クリエイターの方々も、子どもの認知度や信頼感を上げるために工夫されている様子でした。それと同時に、クリエイターの方々の版権を扱う会社が規模を拡大していたり、クリエイターさん自身が会社を立ち上げて版権を扱ったりと、動画配信の枠を飛び出して広く活動される動きもあるようでした。
中西:僕は前職から児童書に携わっていますが、2023年ごろから、キャラクターを活用・コラボしたドリルが増えていたこともあり、まだ他社さんが着手されていなかった動画コンテンツのドリルを出してみたいと考えました。それが、まいぜんシスターズさんの「まいぜんドリル」シリーズです。
マイクラ実況と学習本の相性は抜群!
──実際につくった動画クリエイターの書籍は、読者からどのような反響がありましたか。
中西:まいぜんシスターズさんは、真面目な「ぜんいち」とマイペースな「マイッキー」が、マインクラフトなどのゲームのなかで遊ぶ動画をYouTubeで配信しています。マインクラフトが好きなお子さんなら必ず通るといってもいいほど、大人気のキャラクターです。
「まいぜんドリル」では、小学1年生向けの「ひらがな・カタカナ」、小学1・2年生向けの「漢字」「計算」と、合計5冊のドリルを出版し、累計7万7000部(2025年8月現在)になりました。
SNSなどでは実際に問題を解いてくれたお子さんからの反響があり、子どもがリアルに好きなコンテンツを扱っているんだという手応えを感じます。

澤:私は2025年5月に、ドズル社さんの学習系書籍を2冊出しました。ドズル社さんは5人で活動されているゲーム実況グループ。刊行した『ドズル社と学ぼう! ことわざ』と『ドズル社と学ぼう! 漢字ドリル』は、どちらもすぐに重版がかかりました。
ドズル社さんはマインクラフトの実況をメインに配信しているので、実際の動画の場面を書籍に入れることで、お子さんの興味付けができるように工夫しました。特に小学中学年から高学年のお子さんから、「楽しく四字熟語が覚えられた」などと大変ポジティブな感想をいただいています。

中西:マインクラフトでの活動をメインとする動画クリエイターさんと、学習を目的とした書籍との相性はいいと感じています。
マインクラフトは、プログラミングなどの学習の場でも使用されていて、論理的な思考が必要なゲームですよね。ゲーム自体が学習と結びつくことで、子どもたちも自然に学習に取り組めるのではないかと考えています。