【幼児とYouTube】安心な動画選び・親に人気の「ロング動画」 教育系チャンネルプロデューサーが「10年の大変化」を解説

──「ボンボンアカデミー」はYouTube公式チャンネルができてから10周年とのことですが、その間に子ども向けの動画はどのように変化してきましたか。

ボンボンアカデミー・プロデューサー 髙橋秀二さん(以下、髙橋):
『ボンボンアカデミー』の前身『キッズボンボン』は2015年12月に動画投稿をスタートしましたが、僕がボンボンアカデミーに携わるようになった2016年ごろは、まだ「みんなが同じ動画を観る時代」でした。

現在と比べるとチャンネル数が格段に少なく、HIKAKINさんやはじめしゃちょーさんなどの、同じ動画をみんなが視聴していた記憶があります。

▲「ボンボンアカデミー」チャンネル登録者数108万人、動画総再生回数22億回を超える教育系YouTube公式チャンネル。幼稚園や保育園での人気曲、日本の唱歌、手あそび歌、英語の歌、ダンスやたいそう動画などを数多く配信中。運営は講談社。
▲「ボンボンアカデミー」チャンネル登録者数108万人、動画総再生回数22億回を超える教育系YouTube公式チャンネル。幼稚園や保育園での人気曲、日本の唱歌、手あそび歌、英語の歌、ダンスやたいそう動画などを数多く配信中。運営は講談社。
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◾「みんなが同じ動画を見る」時代から「子どもの好みに合わせて動画を選ぶ」時代へ

髙橋:それが2020年の新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛の期間を経て、YouTube内に動画が大量にあふれるようになり、投稿される動画のジャンルもぐっと細分化されるようになりました。

コロナ禍から5年がたち、2025年現在は「子どもの趣味や好みに合わせて動画を選ぶ時代」になっています。

アニメ、ゲーム実況、アイドル、ファミリーYouTuberなど、子ども向けの動画の内容は多岐にわたります。

例えば、マインクラフトでプレイする姿を観せるゲーム実況は、男児を中心に絶大な人気があります。

一方女児は、アイドルやインフルエンサー、ファミリーYouTuberなど、憧れのクリエイターを推す傾向が一般的にはあるように思われます。

幼児向け「人気動画」は絵本と同じ視点?

──「ボンボンアカデミー」が動画をつくり続けてきた10年間のなかで、特に反応のよかった動画と、その理由を教えてください。

髙橋:
童謡「とん とん とん とん ひげじいさん」の歌動画ですね。公開したのは6年前ですが、今でも月に130万回ほど再生され、2025年6月には1億回再生を超えました。

【♪うたアニメ】とん とん とん とん ひげじいさん〈うた:いっちー&なる〉, Finger Plays

髙橋:そのほかも、「手遊び歌メドレー」や「やさいのうた」など、日本の子どもたちなら誰もが通る、定番の手遊びや歌動画が人気です。

どれも優しいイラストと声の調子で、背景チェンジを最低限にするなど凝りすぎない演出をし、低年齢でもわかりやすい内容でつくっています。

この傾向から考えると、動画作りも実は「絵本」と似通ったところがあるんじゃないかと思います。

幼児向けの作品は、紙の絵本であっても、デジタルの動画であっても、まずは「子どもの心に寄り添った視点」、名作絵本と同様に「長く見続けてもらえる内容」で作ることが大切なのかな、と。

子ども向けの動画作りを続ける中で、そういう視点で作られた作品が、人気の出るコンテンツになっていると実感しています。

おかげさまで「ボンボンアカデミー」は、保育士の方が手遊び歌の参考にしてくださったり、海外の日本語学校で流していただいたりと、保育や教育の現場でも活用いただいています。

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