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「幻の遺作」かこさとしさん『くらげのパポちゃん』 戦争テーマの未発表の原稿が孫・中島加名さんとの共作で絵本に
2025.02.08
『からすのパンやさん』や『だるまちゃんとてんぐちゃん』などで知られる、絵本作家のかこさとしさん。2018年に92歳で亡くなるまで、日本中の子どもたちに読み継がれる名作を数多く残しました。
そんなかこさんの「幻の遺作」が、絵本『くらげのパポちゃん』として刊行され(2025年2月5日刊)、発売直後の2月7日に、加古総合研究所の私設ギャラリー(神奈川県藤沢市)で刊行発表会が行われました。
戦争をテーマにした「未発表原稿」
刊行発表の会見には、かこさとしさんの長女・鈴木万里さんと、絵を手がけた孫の中島加名(かめい)さんが登壇。『くらげのパポちゃん』の原稿が発見された経緯や、刊行までの道のりを語りました。
『くらげのパポちゃん』の原稿は、万里さんが自宅で古い原稿を整理していたとき偶然に発見されたもの。絵本作家としてデビューする前の、1950〜55年ごろに描かれているものでした。
会見では万里さんが、『くらげのパポちゃん』の原稿が描かれた当時のかこさんの活動や時代背景を語りつつ、かこさんが残した「くらげ」をテーマにした作品、戦争体験を描いた絵本『秋』などのエピソードも交えて解説。
かこさんが原稿を執筆した当時から、70年以上が経過したのちに絵本として刊行できたことについて、「いつか皆さんに読んでいただきたいと思っていた」と、笑顔で語りました。
かこさんの未発表原稿『くらげのパポちゃん』は、戦争をテーマにした作品でした。しかし、見つかったのは原稿のみで、絵はついていませんでした。
かこさんの遺志を継いだのが、かこさんの孫である中島加名さんです。
奇しくも、かこさんが『くらげのパポちゃん』の原稿を書いたときと同じ年齢でこの作品に出会い、絵を描くことになりました。
普段は会社員として働く加名さんにとって、絵本の制作は初挑戦。
編集者と何度も相談しながら絵のタッチを模索したことや、「海」の描写には特にこだわったことなどを明かしました。
また、読者の子どもたちへむけては「くらげが大きな海の中にむかう冒険の物語」として「物語そのものをあじわってもらえたら」と語りました。
『くらげのパポちゃん』に描かれているのは、戦争を二度と起こしてはならないというかこさんの強い思いです。
2025年は、終戦から80年にあたります。
しかし、世界を見渡せば、この瞬間にも戦争が継続しており、多くの人々が命を落としています。
「戦争経験を語り継ぐ」「平和への想いをつなぐ」ことが重要なテーマとなっている今だからこそ、多くの人に伝えたい絵本です。
(撮影/市谷明美)
『くらげのパポちゃん』について詳しく見る
『くらげのパポちゃん』
文 かこさとし 絵 中島加名
2025年2月5日ごろ発売
本体 1700円(税抜)
かこ さとし
1926年現在の福井県越前市に生まれる。工学博士、技術士(化学)。東京大学工学部卒業後、化学会社に勤務しながら、ボランティアで子どもたちと関わり、『だむのおじさんたち』で本作家としてデビュー。『だるまちゃんとてんぐちゃん』、『からすのパンやさん』をはじめ、『かわ』『宇宙』などの科学絵本も含め、著作は600冊以上に及ぶ。菊池寛賞、日本化学会特別功労賞、巌谷小波文芸賞など受賞多数。越前市にかこさとしふるさと絵本館「砳」、だるまちゃん広場(武生中央公園)がある。2018年5月没。 公式ウェブサイト https://kakosatoshi.jp
1926年現在の福井県越前市に生まれる。工学博士、技術士(化学)。東京大学工学部卒業後、化学会社に勤務しながら、ボランティアで子どもたちと関わり、『だむのおじさんたち』で本作家としてデビュー。『だるまちゃんとてんぐちゃん』、『からすのパンやさん』をはじめ、『かわ』『宇宙』などの科学絵本も含め、著作は600冊以上に及ぶ。菊池寛賞、日本化学会特別功労賞、巌谷小波文芸賞など受賞多数。越前市にかこさとしふるさと絵本館「砳」、だるまちゃん広場(武生中央公園)がある。2018年5月没。 公式ウェブサイト https://kakosatoshi.jp