150万部超えの『NO.6』がついに続編を刊行! あさのあつこも「予測不能」の「ふてぶてしい」登場人物とは

『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』刊行記念 あさのあつこさんインタビュー 前編

ライター:山口 真央

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『バッテリー』のあさのあつこさんが描く、近未来SF小説『NO.6』をご存知でしょうか。

主人公は、世間知らずでエリートの紫苑(しおん)と、テロリストのネズミ。ある夜ふたりは、運命的に出会います。

互いに強く惹かれあうふたりは、偽りの理想都市「NO.6」を崩壊させようと計画しますが──。

シリーズ10巻の累計発行部数は150万部を突破し、アニメや漫画、舞台などに続々とメディア化。『NO.6』の感動は、今もなお、人々の心に残り続けています。

沈黙すること14年。『NO.6』の新シリーズが、2025年5月28日よりついにスタートします!

最新刊のタイトルは『NO.6[ナンバーシックス]再会 #1』。刊行を前にして、作者のあさのあつこさんを直撃取材しました。

前編では、『NO.6』の続きを書くことになった理由や、紫苑とネズミへの想いをたっぷりと伺います。

あさのあつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991年『ほたる館物語』で作家デビュー。97年『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞、2005年『バッテリーⅠ~Ⅵ』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説までさまざまなジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。

紫苑とネズミに会いたい気持ちが溢れてしまった

──『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』の刊行がメディアで報じられたとき、たくさんのファンの方から喜びの声が上がっていました。

あさの:とっても嬉しかったです! 前シリーズの『NO.6』を書き終えてからも、ファンの方からたくさんのメッセージをいただいていました。

「10代を『NO.6』とともに生きて、それからもずっと心に残っている」、「『NO.6』を糧に生きてこれた」、「紫苑とネズミといっしょに生きていたい」など……。

親子で『NO.6』を好きだと言ってくださっている方もいて、感動しました。

みなさんの言葉が、噓やごまかしのない、本当の言葉だと伝わり、誇らしい気持ちです。

──あさのさんが『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』を書こうと決めた経緯を教えてください。

あさの:『NO.6』を書き終えた直後から、ずっと「続編を書かなきゃいけない」と思っていました。なぜなら前シリーズでは書ききれなかったことが、たくさんあるからです。

紫苑とネズミの戦いはどういうものだったのか、そして私自身は何を望んでいたのか。

このまま書かないでいたら、物書きとしての制限をつくることになる。いつかもう一度、挑まなければいけないという思いはずっとありました。

『NO.6 #9』の終わりには、紫苑とネズミが「再会を必ず」と約束するシーンがあります。

紫苑とネズミは『NO.6』が崩壊したあと、どうなったのだろう。ふたりはいつ、再会するのだろう。

紫苑とネズミにもう一度会いたいという思いが、日に日に募っていったのです。

紫苑がしたたかで貪欲な青年だとは思わなかった

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