150万部超えの『NO.6』がついに続編を刊行! あさのあつこも「予測不能」の「ふてぶてしい」登場人物とは

『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』刊行記念 あさのあつこさんインタビュー 前編

ライター:山口 真央

紫苑がしたたかで貪欲な青年だとは思わなかった

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──『NO.6』の見どころといえば、紫苑とネズミの情熱的な関係です。紫苑には、どんな思いがありますか。

あさの:私の描く物語の登場人物は、書き始めたときの印象から、性格や行動が逸脱していくことがよくあります。

「えっ、そんなことしちゃうの?」などと、書いていて思うことは日常茶飯事です。

たとえば紫苑は、『NO.6』のお話がスタートしたとき、紫苑は理想国家の安全な場所で暮らしているエリートでした。

ネズミと出会って、彼を取り巻く世界が変わっていく。自分が無知であることを自覚して、成長していきます。

最初はピュアだと思っていた紫苑ですが、物語がすすむにつれ、したたかで貪欲で、感情的な姿を見せていきます。

どんどん、わからなくなっていく。とても魅力的な青年です。

──では、ネズミにはどんな思いがありますか。

あさの:前シリーズを書き始めたのは9.11の直後で、相手を殺したいほど憎めるテロリストとは、どんな人物なんだろうという疑問から、ネズミが誕生しました。

きっと憎しみや破壊だけではない、何かがある。書くことで、全体像を知りたいと思ったんです。

このお話は、紫苑の成長劇のように捉えられがちですが、ネズミも変化していきます。

しかも、テロリストとか愛国者とか、そういう枠組みにいない、紫苑というひとりの青年によってです。

彼らの化学反応を、どうしても書きたい、絶対に追いかけたいという思いで、9巻まで書きました。

紫苑とネズミの関係にずっと恋い焦がれている

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