
『NO.6』が続編を発表! アニメ化や漫画化で一大ブームを起こした150万部越えのベストセラー あさのあつこの「原動力」とは
『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』刊行記念 あさのあつこさんインタビュー 後編
2025.04.29
ライター:山口 真央
沙布の最期には申し訳ないと感じている

──前シリーズで亡くなってしまった、沙布(さふ)への思いも聞かせてください。
あさの:沙布は、紫苑のことが大好きだった少女です。前シリーズでは、悲惨な運命にあらがえず、亡くなってしまいました。
正直にいうと、沙布が紫苑に出会えたことで得たものや喜びを、前シリーズでもう少しちゃんと書いてあげられたらよかったと思っています。
でも、今振り返っても『NO.6』のストーリーで生き延びる余地はありませんでした。
彼女には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、ひとりの少女の死は、そんなに軽いものではないはずです。
沙布が紫苑に残したものに、紫苑が気づき、受けとめる必要がある。この先、どう書けるかはわからないけれど、私と紫苑でその命題に立ち向かうつもりです。
──『NO.6[ナンバーシックス]再会』を執筆して、どんな心境ですか。また執筆中に行き詰まったとき、どのような方法で打破していますか。
あさの:大変だと感じることもありますが、ずっと会いたかった人に会えて、幸せに感じています。
執筆に行き詰まったときは、犬の散歩をして、紫苑とネズミの日常を空想していますね。
ふたりが穏やかに話をして、どんなふうに笑っているのか。他に趣味もないので、四六時中、物語のことを考えています。
長年の経験から、物語から目を背けることはせず、ただひたすらに書き続けることでしか、行き詰まった道を突破することは難しいと感じています。