細谷佳正が語る14年越しの真実「東京に戻れたのはネズミのおかげ」 『NO.6再会#2』は2025年9月3日に発売!

作家・あさのあつこ×声優・細谷佳正 『NO.6[ナンバーシックス]再会#2』刊行記念スペシャル対談 前編

ライター:山口 真央

細谷「『NO.6』は僕を東京に連れ戻してくれた作品です」

すべての画像を見る(全6枚)

──アニメ「NO.6」の思い出を教えてください。

細谷:アニメ「NO.6」が放映された2011年に、声帯結節をとる手術をしたんですよ。

あさの:ええっ。そのお話は、初めてお伺いします。

細谷:声帯結節は、声を出す人の職業病みたいなものなんですね。30歳になるかならないかぐらいで、これから現場に出て結果を残して「細谷佳正」という声優を知っていただかなければいけない、大事な時期だったと思うんですね。そのなかで故障を抱えてしまって。自分の本来の声ではないし、本当に自分がやりたいことが故障のせいでできなかったし、自分が納得できるクオリティに届かなかったことが、現場で毎回のようにありました。

あさの:それはお辛かったでしょうね。

細谷:手術が終わって、1ヵ月ほどの休養期間をとるためのスケジュール調整に1年ぐらいかかったんですけど、その間ずっと故障を抱えながら仕事をしなければいけなくて。やっと休養期間に入って、1ヵ月地元に帰ったんですけど、故障を抱えて仕事をした期間が辛すぎて「もう、東京に帰りたくないなと思ったんですね。

あさの:それはお仕事も含めてということですか。

細谷:そうなんです。休養期間の直前に「NO.6」のアニメのプロットと資料をいただいて、ネズミ役のオーディションを受けたんですね。ガッサガサの声だったんですけど、この作品のこの役は絶対にやりたいと思っていました。

あさの:ネズミのことをそんなふうに思っていただいて、嬉しいです。

細谷:地元で療養しているときに、当時の事務所から「NO.6のネズミ役が受かりました」と連絡をいただいて。そのときに「あ、これは(東京に)戻れってことなんだ」と思ったんですね。ネズミ役に受からなかったら多分、実家に帰っていたと思うので(笑)。ネズミ役に選んでいただいて、ありがとうございます。

あさの:ネズミ役は細谷さん以外に考えられません。こちらこそ、ネズミを演じてくださって、ありがとうございました。

あさのあつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991年『ほたる館物語』で作家デビュー。97年『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞、2005年『バッテリーⅠ~Ⅵ』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説までさまざまなジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。

細谷佳正
広島県生まれ。アニメ、吹き替え、ナレーションなど、声優として幅広い分野で活動している。2014年、2016年と声優アワード助演男優賞を受賞。2023年には、舞台『ハーヴェイ』でエルウッド役を務め、初主演を果たした。主な出演作に、『真・侍伝YAIBA』鬼丸猛役、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』オルガ・イツカ役、『進撃の巨人』ライナー・ブラウン役、『この世界の片隅に』北条周作役など。

シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作

・『NO.6再会#1』発売告知後、即Xでトレンド1位!
・『NO.6再会#1』Amazon1位(SF・ホラー・ファンタジー6月6日調べ)
・『NO.6再会#1』ジュンク堂池袋本店総合1位(2025年6月2日調べ)
・『NO.6再会#1』トーハン週間ベストセラー文芸書2位(2025年6月3日調べ)

度重なる戦禍で地球環境が壊滅した世界に生きる紫苑とネズミ。「NO.6」のエリートとして育てられた少年・紫苑(しおん)と、「NO.6」の外に広がるスラム地区「西ブロック」に住むミステリアスな少年・ネズミは、腐りきった偽りの理想都市を崩壊させた。二人は、新世界を再構築できるのか。真っ直ぐすぎる二人の未来の命運をわける2巻。

──きみは、ぼくを摑めないと言ったけれど、ぼくにとっては、きみこそが謎だ。確かに存在しているのに決して手に入らない。

●「NO.6」シリーズ読者からの感想
「たくさん本は読んできたけれど、これ以上面白い本に出会ったことがない」
「呼吸を楽にしてくれた本」
「死にたくなったらネズミの言葉を思い出します。逃げずに前へ進め! 現実を見ろ!
どんなに現実が辛くても光を見いだせる人になりたいと思います」
「泣きたくなった夜に読みます。おまえはどうありたいんだ? いつでも自分にできることを問いかけ、動きつづけたいと思います」

●あさのあつこさんからのメッセージ
声を聞きました。ネズミの声です。
「生きる場所も死ぬ場所も自分で決める。あんたじゃなくおれが決める。余計なお節介は止めてもらおうか」と。
そうか、彼らはすでに出逢い、運命を紡ぎ始めているのか。
だとしたら、わたしも、もう一度だけ、本当にもう一度だけ、彼らに手を伸ばそう。この手で彼らの生に触れてみよう。
『NO.6』の作者として戦ってみよう。あれほど恋い焦がれた少年たちに挑んでみよう。
今はただ、それだけを考えています。
14年の時を経て、あなたに再び『NO.6』を届けます。

人物撮影/柏原力(講談社写真映像部)

この記事の画像をもっと見る(全6枚)

前へ

2/2

次へ

20 件
やまぐち まお

山口 真央

編集者・ライター

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

あさの あつこ

Atsuko Asano
作家

岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。

岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。