『NO.6』新シリーズ#2の発売が決定!あさのあつこが明かした紫苑とネズミの「秘密」 2人の「再会」は救いか呪いか

岡山県美作市でおこわなれた『NO.6』読書会をレポート

児童図書編集チーム

戦争や未知の病…『NO.6』は未来を予見していた?

読書会がおこなわれた岡山県美作市の「ほたる館」。
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Q.前シリーズが終わったあとに刊行された『NO.6 beyond[ナンバーシックス・ビヨンド]』の「紫苑の日々」の最後で、紫苑が窓を閉めるシーンがありました。紫苑は窓を開けていたことでネズミに出会えたので、その反対の行為をするということは、あさのさんの意図があったのでしょうか。

あさの紫苑は閉めざるをえなかったと感じています。

ネズミ抜きでNO.6に向き合わなくてはいけない。『#1』にも書いていますが、崩壊させるより再生させるほうが100倍も難しいでしょう。

紫苑はそれを本能的に察して、窓を閉めたのかもしれません。決意というよりは、彼なりのけじめの付け方だったのかなと思っています」

Q.前シリーズの『NO.6』を中学生に読んだときから、3回読ませていただきました。読むたびに違う世界が見えることに驚いています。

あさの「続編を書いてから、たくさんの読書カードやお手紙をいただきました。

そのなかで多かったのが、小学校高学年から高校生のころに読んだ『NO.6』を、14年たって読み返してみると、全然違う世界が広がっていたという感想です。

物書きにとっては光栄なことですが、意識はしていません。私の独断ですが、書き手が物語の世界以外のことを意識したとき、物語は破綻すると考えています。

でもみなさんに、そういった感想をいただけることは、とても励みになります。ありがとうございます」

『NO.6』シリーズの文庫版。『#9』のあと、紫苑、ネズミ、イヌカシのその後が描かれた『NO.6 beyond[ナンバーシックス・ビヨンド]』が刊行された。写真/安田光優(講談社写真映像部)

Q.2回目の『NO.6』を読んだとき、もし自分が『NO.6』の世界に入っていたら、紫苑とネズミの関係に嫉妬や苛立ちを覚えてしまうかもしれないと感じました。そんななか、まわりに執着しないイヌカシの性格に、清々しさと憧れを感じ、好きなキャラクターが増えたことを嬉しく思っています。

あさの「イヌカシはとてもシンプルに生きている子です。人間の体幹がしっかりしていないと、あんなふうにシンプルには生きられないだろうなと思います。

たしかに紫苑とネズミの関係を、不快に感じる人もいるかもしれませんね。ただあの関係でないと、「NO.6」の世界を支えきれないんです。

友達とか恋愛とか肉欲とかに括れないふたりの関係を、私は本当に知りたいと思って書いています」

Q.『NO.6#1』の初版は2003年に刊行されましたが、戦争や未知の病など、まるで未来を予見したかのような内容が描かれていることに驚きました。当時のあさのさんが、未来がこうなるだろうと考えていたことはあったのでしょうか。

あさの「前シリーズの『NO.6』を描いていた当時に、戦争や新型コロナウイルスについて、私がわかっていたことは何ひとつありません

『NO.6』を舞台にしたことも、設定として考えたのではなく、それしか思い浮かばなかったから。自分の感覚だけを頼りに書いています

「6」という数字は最初から決まっていました

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