
【自由研究】「5つメモして2つ調べる」学びのコツ 「国立科学博物館」の研究者が解説『いきもの超ワールド展』の魅力とは
田島木綿子先生インタビュー【後編】
2026.07.09
夏休みは、おでかけや自由研究のテーマさがしに、博物館へ行ってみよう! そう考える親子も多いのではないでしょうか。
せっかく足を運ぶなら、単なるイベントの思い出で終わらせず、子どもの「知りたい!」という好奇心をぐんぐん伸ばす最高のきっかけにしたいもの。
この夏、大注目の展覧会が国立科学博物館(東京・上野公園)にやってきます。特別展『いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!』〈2026年7月11日(土)~10月12日(月・祝)〉は、同館の貴重な標本とNHKの迫力ある映像が融合し、いきものたちの驚くべき「生き残り術(生存戦略)」を体感できる、親子にぴったりの催しです。
大人がちょっと意識するだけで、博物館での体験が何倍も深く、おもしろくなる秘訣とは? 前編に引き続き、本展の総合監修を務める国立科学博物館の研究主幹、田島木綿子先生にお話を聞きました。
◆田島木綿子(たじま・ゆうこ) 国立科学博物館動物研究部脊椎動物研究グループ研究主幹。筑波大学大学院生命環境科学研究科准教授、日本獣医生命科学大学客員教授。日本獣医生命科学大学(旧日本獣医畜産大学)獣医学科卒業、野生のオルカ(シャチ)に魅了され、海の哺乳類の研究者の道へと進む。
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わからないから面白い だから人間は学び続ける
──前編では、特別展の魅力や展示を観察して学びにつなげるヒントを伺いました。「子どもの自発性を大切に」とお話しされていましたが、「自分で問いを立てて調べる」ことの楽しさや難しさはどんなところにあるのでしょうか。
田島木綿子さん(以下、田島さん):私自身、長く研究の場に身を置いていますが、やればやるほどわからないことが出てきて、新しい疑問が湧いてきます。だからこそ面白い。Aを理解しようと思うと、Bを学ぶ必要がありCについての知識も必要で……と連鎖してどんどん広がっていくわけです。
私はイルカやクジラなど海の哺乳類について研究していますが、彼らのことだけ研究していても事実に近づけない部分があり、海洋生態系全体を捉えていく段階なのだと思い始めたところです。
木を見て森を見ずではないですが、トッププレデター(食物連鎖の頂点にいるいきもの)だけを理解しても全体を把握することには限界があります。なので、食物連鎖全体を考えることで、事実に近づける気がしています。
それには自分の力だけでは限界がありますので、ほかの研究者や先生方と協力しています。学びの輪とはそうやって広がっていくのですね。
──研究者というのは、湧き上がってきた疑問や探求したいことについて、知識や考察を深めていく延長線上にあり、まさに夏休みの自由研究を生涯にわたって取り組んでいるようなものですね。
田島さん:そうそう。自分の気になることを調べて掘り下げて、それをどう実証するか、根拠をもとに論文や学会でどう発表していくか。これができるようになれば、もう研究者の仲間入りです。
国立科学博物館の研究員たちは、子どものころ、川に行って石をひっくり返してはひたすら眺めていた人たちが多くて(笑)。とにかく自然やいきものが好きで、気の向くまま川や草むらに行って楽しんでいたようです。一方で、博物館や水族館に毎週のように通っていた人たちもいます。そういうところに、研究者の原点があるのではないでしょうか。
──田島先生ご自身は、どのような経緯で研究者の道を歩むことになったのでしょうか。
田島さん:私の場合は、辿った道が周りの人たちとはちょっと違っていて……(笑)。私はいわゆる教育ママであった母のおかげもあり、「子どもたちには、専門的な道に進んでほしい」という強い決意のもと育てられたところがあります。小さいころから動物が好きだったので、母から勧められた獣医という分野を目指して、獣医学部に進学しました。
大学に行ってからは、いきもののことをたくさん学べたので「もっともっと知りたい」という気持ちが強くなり、やっと勉強やいきものたちに真剣に向き合うようになりました。
いろいろなタイプの研究者がいることも多様性の一つだと思うので(笑)、最終的に自分が「楽しい」と思うことに到達できることも大切にしています。
ほかのいきものを知ることで、新たな視点を得る
──子どもの興味や関心が向いた先に、大人がどう気づくか。そしてどう反応するかを大切にしたいですね。
田島さん:先ほどもお話ししましたが、同じものを見ても見る視点を変えると、全く違った感想や考えが湧くものです。科博のような博物館の展示や標本に対して、「わからない」という子もいれば、「興味が湧かない」という子もいると思います。
そうだとしても、それは1つの答えであり、では何に興味が湧くのかな?どこがわからないのかな?といった違う観点で子どもたちと向き合えるのではないでしょうか。例えば、絵や仏像に興味があるのかもしれませんし、大工さんになりたいのかもしれません。
たとえば今回の展示は、オオナマケモノ以外は今の地球上に生息しているいきものたちばかりです。
田島さん:子どもが「わからない」と思ったとしても、今回の展示で紹介しているほとんどのいきものは、現在も、この地球上で共に生きる仲間ですので「地球で一緒に生きている仲間として、少しずつ彼らのことを知っていくのはどうだろう」など別の視点からフォローしてみると、子どもたちのいきものに対する見方がちょっと変わったりするので、そんなときは私も嬉しいですね。
大人の方々は大変です(笑)。凝り固まってしまった頭を柔軟にほぐしながら、「人間もまた、食物連鎖の一員」という視点で、地球やいきものたちと触れていただけると楽しいはずです。
さまざまないきものが食う・食われるの関係の中で、死に直面するのは自然の摂理です。しかし我々は、その関係を一方通行に考えてしまいがちです。いきものが互いに支え合っているからこそ、その関係も成り立っていることを、心に留めて置けると良いですよね。
「標本」を通じて得られる、本物の自然との出会い
──学校や塾といった場とは異なる「博物館での学び」は、子どもにとってどのようなメリットがあるとお考えですか?

































