ここまで考え抜かれている! インクルーシブ公園に込めた老舗遊具メーカーの工夫と願い

シリーズ「インクルーシブ公園」最新事情#3‐2 遊具メーカー「コトブキ」福田英右氏インタビュー ~最新のインクルーシブな遊具~

インクルーシブ公園が当たり前になる世の中に

──最後に、メーカーとして今後の展望を教えてください。

福田さん まず言えるのは「インクルーシブ公園」「インクルーシブな遊具」という言葉が、この世から消えること。「インクルーシブ」が当たり前の世の中になることが目標ですね。

障がいや公園遊具についてヒアリングをする中で気づいたのは、障がいのある人を気にしすぎているのは、大人が多いということです。

あるイベントで、ひとりのお母さんが、車いすユーザーの子を持つお母さんに質問をしていました。

「うちの子は車いすの方を見ると『カッコイイ!』と言って騒いだり、話しかけたりするんです。親としては、失礼じゃないかと躊躇(ちゅうちょ)するのですが……」と。これって、大人は割とよくある感覚ですよね?

でも、車いすユーザーの子を持つお母さんは「カッコイイと言われたり、興味を持ってもらえたりすることがありがたいし、それをきっかけに仲よくなれたらうれしいです」と答えていました。

なるほどと思いましたね。子どもは遊びの時間を通して、知らず知らずのうちに多様性を「ふつうのこと」として受け入れていくのですね。

「いろいろな子がいる」「いろいろな人がいる」ということを、子どもにとっていちばん最初の小さな社会である公園で遊びながら学んでもらって、「当たり前」の感覚を育てていけたら、社会全体がインクルーシブになります。

そのために、さまざまな子どもが一緒になって遊べる遊具を作り続けることが、私たちメーカーにできることだと思います。

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楽しい時間を共有すると、ぐっと距離が縮まるのは大人も子どもも同じ。

さまざまなアイデアを取り入れたインクルーシブな遊具は、子どもたちが楽しみながら多様性を身に付けるための手助けをしてくれるに違いありません。

第4回は、子どもたちと「公園づくりワークショップ」を開催してインクルーシブ公園を作った、品川区・公園課公園建設の担当者の方々にお話を伺います。

取材・文/星野早百合

インクルーシブ公園を作るうえで欠かせない、誰でも遊べる遊具について語ってくれた福田英右さん。  写真提供/福田英右

福田英右(ふくだ・えいすけ)PROFILE
遊具メーカー「株式会社コトブキ」マーケティング本部プロダクトマーケティング課に所属。障がい児の受け入れを積極的に行っている関東最大級の幼稚園「柿の実幼稚園」(神奈川県川崎市)での勤務を経て、「コトブキ」に入社。インクルーシブな遊具を含めた遊具の事業部・プレイグラウンド事業部事業推進室、営業本部営業企画部を経て現在へ。障がいの有無など関係ない“みんなが一緒”の社会実現を目指している。

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ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。