発達障害の特性のある孫を育てる“祖父母”とは?【前編 行動・気持ち】〔言語聴覚士/社会福祉士〕が解説

#18 発達障害の特性のある子どもの「祖父母」への支援─前編~祖父母の気持ち~ (2/3) 1ページ目に戻る

言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也

祖父母にとって、孫の誕生はさまざまな意味を持ちます。

①孫との関わりという新たなつながりが生まれる
②孫と遊ぶことで祖父母の健康が維持・増進される
③孫と関わることで幸せを感じる

などです。そういった中で孫との関わりは祖父母にとっての大きな生きがいとなることも多いです。また、孫にとっても祖父母の存在は、

①情緒的に安定する
②多様な経験や価値観を知ることができる
③優しさや思いやりが育つ

など、よい影響をもたらすことが多いです。孫と祖父母は互いに幸せを与え合う相手であり、両者の人生において互いに大切にしたい存在なのです。

子どもの特性を目の当たりにした祖父母は?

発達障害の特性のある子どもの場合、彼らとよい関係を築くには、彼らの特性を理解し、彼らに「わかる」方法で働きかけることが必須です。

子どもによって、時に微(かす)かな、逆に時には激しい癇癪(かんしゃく)など、彼ら独特の表現からその子の意図や気持ちをくみ取ることも必要になります。

これは孫と祖父母との関係においても同じです。しかしそのような関わりは両親でも難しく、まして祖父母の多くにとっては至難の業です。

祖父母が、癇癪やこだわりや常同行動や偏食など、発達障害の特性のある子どものさまざまな行動に遭遇したとき、発達障害について知識の少ない祖父母は、このような子どもに育ったのは親の育て方が悪かったのだと考え、両親を非難することが少なくありません。

また、子どもの行動の理由がわからないためにすべてを「わがまま」と考えて、厳しくしかることもあります。

そして、これは発達障害の特性のある子どもの祖父母に限ったことではないですが、孫を極端に甘やかしたり、物を買い与えたりすることでしか孫との関係を作れないことも多くあります。

これらの行動は、祖父母が孫の特性について知らないこと、孫について両親と情報共有が少ないこと、さらに自分の子育ての経験が通用しないことへの混乱などが原因であることが多いです。

こういった祖父母の行動について「どうしたらいいのか?」と我々が両親から相談されることは多いのですが、どうしたらいいか? を考える前提として、まずはこれら、祖父母の行動の原因について知っていただきたいと思います。

祖父母の行動にある思いを知る

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