2歳ですが言葉が遅く心配【発達障害・発達特性のある子】の育児の悩みに専門家が回答

#2 2歳ですが言葉が遅く心配〔言語聴覚士/社会福祉士:原哲也先生からの回答〕

一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表・言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也

写真:アフロ

発達障害や発達特性のあるお子さんの保護者の方からのご相談に、言語聴覚士・社会福祉士であり、発達障害のお子さんの療育とご家族の支援に長く携わってきた原哲也先生がお答えします。

お子さんとの生活が楽しくなり、保護者の方の負担が軽くなるような実践的なアドバイスをお伝えしていきます。第2回は、こちらのご相談です。

【第1回を読む】
第1回 発達障害かどうか気になります【発達障害・発達特性のある子のお悩みに専門家が答えます】

2歳になっても、ことばが遅くて心配です。ことばの発達をうながすために家庭でできることはありますか?

「2歳児のことばが遅い」をどう考えるか

ことばの発達の目安

一般的には、1歳から1歳6ヵ月に初語(初めて発する意味のある単語)を話し、2歳から2歳6ヵ月で「ぶーぶ、いっちゃった」などの二語文を話す、3歳になると三語文を話し始め、4歳までに多語文(三語よりも多くのことばをつないで表現する文)を話すようになるとされます。

「2歳児のことばが遅い」をどう考えるか

①初語が出ていない場合

『一般調査による乳幼児の言語機能通過率」厚生労働省 平成22年乳幼児身体発育調査報告書より

初語の時期は平均12.2ヵ月とされ、1歳6~7ヵ月で約95%の子どもが意味のある単語を話します(「一般調査による乳幼児の言語機能通過率」厚生労働省 平成22年乳幼児身体発育調査報告書より)。これからすると、2歳になって初語が出ていないのは、標準的な発達との差が非常に大きいと言えます。この場合は、早めに医師もしくは言語聴覚士等の専門職に相談されることをお勧めします。

② 二語文を話さない場合

二語文を話す時期(2歳から2歳6ヵ月)からすると、2歳になった時点で二語文を話さないのは「標準」の範囲内であることになります。

ことばの発達をうながす関わりを

ところで保護者の方が「発達の遅れ」を心配するのは、それが何らかの障害によるものではないかという懸念からだと思います。

確かに、ことばの発達の遅れが、①聴力障害 ②発声発語器官の障害 ③知的障害 ④自閉症スペクトラム障害・注意欠如・多動症、限局性学習症(学習障害)などによるものであることはあります。

このうち、①聴力障害②発声発語器官の障害は、医療機関で比較的早くから診断がつきますが、③知的障害④自閉症スペクトラム障害・注意欠如・多動症、限局性学習症(学習障害)は、2歳くらいだと発達の個人差が非常に大きいために、重度の場合を除いて、まだ診断がつかない場合も多いのです。

つまり、ことばの発達が「標準」より遅れていても、3歳くらいまでは、それが発達障害などによるものなのか、それとも個人差の範囲内なのかは、正直言って「わからない」「どちらの場合もある」としか言えないのです。また、多くはないものの、上記のような障害がなくても、ことばの発達が遅く、3歳を越えて発達が追いつくケースもあります。

ではどうすればいいか。
ことばの遅れが障害によるものかどうかはさておいて、保護者の方が、子どものことばの発達をうながす関わりをすることです。

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