関根勤・麻里親子らに学ぶ 子育てでもっとも大事な親の姿勢の見せ方とは

人生相談本コレクター・石原壮一郎のパパママお悩み相談室【20】「子育てでもっとも大事なことは」

コラムニスト&人生相談本コレクター:石原 壮一郎

親も至らないが大前提 至らないなりにがんばればいい

〈石原ジイジの結論〉
子育てでもっとも大事なことは何か、親は子どもに何ができるのか。娘が幼いころはそれなりに頭を悩ませたし、社会人になって結婚して孫を産んでも、まだ考え続けている。これからも考え続けるじゃろう。

孫のF菜に対しても、孫育てでもっとも大事なことは何か、ジイジは孫に何ができるのかを考え続けている。

大原則としては、親が張り切り過ぎるとロクなことはない。とはいえ、娘を見ていると、いいところがたくさんあるのは十分にわかっていても、あれこれ目に付いて言いたいことが出てくる。ま、そこはお互い様に違いない。よっぽどのことじゃない限り、口に出す必要はないと自分を抑えておる。そこもお互い様かもしれん。

自分が娘と同じ年齢の頃を思い出してみると、間違いなく未熟で危なっかしかった。遠くに住んでいた両親も、さぞ心配だったじゃろう。しかし、何も言わずに見守ってくれていた。当時はどういう気持ちだったのか、父親にはもう聞けないが、母親に聞いてみるとしよう。

子育てで大事なことや我が子にできることは、それぞれの親子によって違う。すべての親子に当てはまる「正解」はない。このテーマに関する人生相談の回答を読んで、自分の現在と過去を行きつ戻りつしつつ考えるうちに、多くの親子にとっての「ウチの正解らしきもの」を見つける方法が浮かび上がってきた。

その1「自分が親にされて嫌だったことはしない。してもらって嬉しかったことをやる」

その2「聞こえのいい普遍的な『大事なこと』にすがるのは、親の自己満足でしかない」

子どもが何歳だとしても、子どもの力を信じて黙って見守るのは、口を出すより何倍も難しい。自分も、こらえ切れずに口を出すこともある。これから先、もし「これは言わなければ」と思う状況に直面したら、大原則がどうのとカッコつけている場合ではない。

日常的な些末(さまつ)なことへの口出しにせよ何にせよ、伝わってほしいのは山々じゃが、どう受け止めるかは、結局のところ娘次第だ。娘の側に、親の話をムキになってはねのけず、いちおう耳を傾けて考えてみる度量としなやかさがあると信じているがゆえの逸脱行為である。

孫のF菜に対しても、ドラマに出てくるジイジのように、将来「あのときジイジが言っていたのはこういうことか」と思い出してくれるような「いい言葉」を言ってやりたいという邪念が常に付きまとう。いつまでたっても未熟な親だし、まだまだ未熟なジイジである。

開き直るようで恐縮だが、子育ての大前提は「親のこっちも至らないなりにがんばるから、子どものあなたも自分なりに成長していってほしい」という姿勢を忘れないことではないだろうか。

ジイジとしても、孫に対してそういう接し方をしていきたい。いや、至らない自分を甘やかすわけではなく、成長するために全力でがんばるのは当然として。

【石原ジイジ日記】
孫のF菜を見て「かわいいなあ」と感じるたびに、自分をかわいがってくれた祖母を思い出す(祖父は早く亡くなっていた)。幼かった孫の自分を見て、同じ気持ちになってくれていたのだろうか。苦労の多い人生だったが、少しは救いになれたのだろうか。こんなことを想像できたのは、F菜のおかげである。ありがとう。

石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
コラムニスト&人生相談本コレクター。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。現在(2023年)、4歳女児の現役ジイジ。

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コラムニスト・石原壮一郎氏が<「まあ、いいか」的生き方のススメ>を説いた『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が2023年1月26日発売。自分で自分を窮屈にしている「〜ねばならない」から脱却できる108のキーワードを紹介。
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いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか