「祖父母とベッタリしない」スウェーデン在住ママが教える 子育て負担の意外な減らし方

子ども時代を子どもらしく過ごせるから勉強にシフトできる!? 心地よいスウェーデンの子育て #2

スウェーデンのイースターの様子。長女ヤヤさん(左)とその従姉妹たち。魔女のおばあさんの格好をして、近所を回ってお菓子をもらうのが伝統です。大きな収穫を期待して大きなカゴを持参! スウェーデンでは、しつけや勉強よりも子ども時代を存分に謳歌することが優先されます。  写真提供:井浦ふみ

子育てがしやすい国ランキングで、常に上位に入ってくるのが北欧スウェーデンです。

男性の育児参加率も高く、日本から見ると子育てへの精神的な負担が少ない様子を羨ましく感じますが、一方ではその環境を自分たちでうまく作り上げているともいえます。

スウェーデン人の夫、子ども2人と現地で暮らしている井浦ふみさんに、スウェーデン流の心地よく子育てをする秘けつをうかがいます(全2回の2回目、#1を読む)。

◆井浦 ふみ(いのうら ふみ)
福岡県出身。美大卒業後にデコレーターとして働いたあと、渡仏。南仏でスウェーデン人である現在の夫と出会う。パリでの生活を経てスウェーデンに移住し、結婚。長女をスウェーデンで、夫の仕事の関係で次女を日本で出産し、2国での子育てを経験する。

教育の現場でも子どものいい部分を優先している

長女ヤヤさんをスウェーデンで、次女ミンミンさんを大阪で出産し、2国での出産と子育てを経験している井浦ふみさん。長女出産後にスウェーデンで北欧雑貨を扱うネットショップを経営後、昨年(2022年)まで現地の保育園に勤務していた経験もあります。

「スウェーデンの保育園のキッチンで働いていたとき、先生方の保育の方法や子どもたちの様子を間近で見る機会に恵まれました。

そこで感じたのは、保育の現場でも『子どもを尊重している』ということです。日本では集団での調和が重んじられますが、スウェーデンでは個人の特性が優先されます。

第1回(#1を読む)でしつけに関してお話しましたが、子どもをしつけや規律で型にはめるよりも個性を伸ばそう、その子のいいところをまずは伸ばしてあげようという意識が強いように感じます。

例えば保育で歌の時間が設けられていても、スウェーデンでは工作に集中している子どもがいたら、無理に歌には誘わず工作に集中させてあげる配慮が見られます。

自分の好きなことを存分に楽しめるからか、子どもたちは『長くつ下のピッピ』のように型にはまらずとてものびのびしていて、子どもらしい子どもが多いと思いますね」(井浦さん)

※『長くつ下のピッピ』スウェーデンの作家アストリッド・リンドグレーンによる子ども向け小説。スウェーデンの小さな村の外れに住む「世界一つよい女の子」のピッピが、自由奔放に生きる姿が世界中の子どもたちを虜にしている。

井浦さんは日本で子育てをしていたとき、日本の子どもがきちんとしすぎていて戸惑ったとも話します。とはいえ、社会生活を送る上でマナーは不可欠です。スウェーデンではいつ、どうやって教えているのでしょうか。

「日常の中で親がこまごまと注意するのではなく、子どもたちは他人からいわれたり、他人の行いを見たり、子どものコミュニティの中や周囲から自ら学んでいっています。

なんでも親が100%教えるのではなく、親戚や友達、そのほかの大人を巻き込んで自学していく感じです」(井浦さん)

井浦さんは「日本の親、特に母親は『自分がきちんと育てなきゃ!』というプレッシャーが強く、自分に負担をかけているように見える」といいます。

子どもを取り巻く人たちをたくさん子育てに巻き込んで、命に関わること以外は『◯◯しなきゃ!』を減らしていくことが育児の負担を減らすきっかけになります。

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