「東大生」「社会のリーダー」に共通する食事マナーとは 料理と学力の意外な関係性

【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい #3】東大生の8割がお箸を正しく持てる!?

料理をして身につく「考える力」

子どもが料理を手伝ったり食材に触れたりする体験を幼いころから増やしておくと、良いことがたくさんあります。表さんが関わった家庭では、次のような例もありました。

「ある家のお子さんは、幼少期から台所で料理を作る習慣があったそうです。料理の体験が算数や理科への好奇心につながり、国立大の医学部で、研修医をしている現在の体調管理にもひと役買っているとのこと。今では『基礎学力の土台は料理から学んだ』とも断言されているそうです。

また、親御さんが共働きのため、塾で食べるお弁当(塾弁)を自分で作る子もいました。その子は、塾弁はコンビニ弁当でもいいけれど、手作りのものを食べたほうが体調が良いのを感じ取っていたそうです。

親御さんも『こういうのを食べると頭の働きにいいんだって』と摂るべき食材と理由を、日ごろから子どもに伝えていたといいます」(表さん)

このように、子どもが料理を作ると、学力の土台作りと自分で健康を管理する両方の面でメリットがあります。子どもには机の上の勉強ばかりでなく、積極的に料理をさせてみてはいかがでしょうか。

子どもでも簡単に作れるおやつメニュー! トマトゼリー

トマトは免疫力アップに役立ちます。栄養素が効率よく摂取できるトマトジュースに、オレンジジュースやはちみつも入れるので、トマトが苦手な子でも食べやすい仕上がりです。  写真提供:表洋子
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【材料】(ゼリーカップ2個分)
トマトジュース(無塩) 150ml
オレンジジュース 150ml
はちみつ 大さじ1
ゼラチン 5g

【作り方】
① ゼラチンをパッケージに表示されている説明どおりに水で戻す。

② 鍋にトマトジュース、はちみつを入れて熱し、80℃になったら火を止める。①を加えて混ぜ、溶けたらザルでこしながらボウルに移す。

③ ②にオレンジジュースを加え混ぜ、ボウルを氷水にあてて、ややとろみがつくまで冷やす。

④ 器に注ぎ入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
※はちみつを使用したものは、1歳未満のお子様には与えないでください。

夕食メニューに! サケの紙包みちゃんちゃん焼き

サケのビタミンAやアスタキサンチンが目の疲れの回復をサポート。油脂と一緒に調理することで、豊富な栄養素が溶け出し吸収率アップ。  写真提供:表洋子

【材料】(2人分)
生サケ(切り身) 2切れ
キャベツ 1枚
しめじ 1/4パック
にんじん 1/8本
味噌・甘酒 各小さじ2
バター 適宜

【作り方】
① キャベツ、しめじ、にんじんは食べやすい大きさに切る。味噌と甘酒は混ぜ合わせておく。

② オーブンペーパーに生サケ、①の野菜類を置き、甘味噌をかけてバターをのせて全体を包む。

③ 200℃のオーブンまたはフライパンで10分ほど蒸し焼きにする。

食育は、一気に大がかりなことをする必要はありません。まずは親が手本になって料理や作法、行事風習を楽しんでやっている姿を見せれば、子どもも興味を持ちます。子どもへの定着は、毎日のちょっとした積み重ねが大切です。

そして家庭の食卓でさまざまな体験を子どもにさせると、食べ物について興味を持つだけでなく、そこを起点として科学や社会、作業効率まで、あらゆる問題を自発的に考える力もついてきます。そればかりか、食事の作法も合わせて身につけられるので、将来、社会へ出ても恥ずかしくないマナーを持ったビジネスマンに育っていくことでしょう。

現在、名門校は入試で子どもの「考える力」を観察しています。そのため、勉強ができる以前に、人として生きていくうえで土台になる力が育まれているか、お手伝いを通して家族への感謝や人の役に立とうとする気持ちを持って行動できるかが重要です。

体に良いものを毎日取り入れていくには、「おいしい」「楽しい」と思うことが根底に必要でしょう。特に子どもは、楽しくないと続きません。もし、食育に迷うことがあったら「やってみて楽しいかどうか」に立ち戻ってみてはいかがでしょうか。

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◆表 洋子(おもて ようこ)
料理家。受験食事マイスター。「賢母の食卓」主宰。

医師である父から食の大切さの教えを受けて育つ。大学卒業後にフランスでの料理研修を経て帰国し、行政や企業で料理講師、食育講座を行う。2012年より名門幼稚園から難関大学まで毎年多数の合格者を送り出している、東京都内の大手進学塾で食育担当として働く。メニュー開発、生徒への料理教室、保護者への食育アドバイスなどを行い、のべ1万人の受験生を食事面からサポートする。その経験をもとに、2019年に受験生の親のための料理教室「賢母の食卓」を開講。現在は講座を行いながら、SNSやメディアを通して心身ともに健康になる食のメソッドを発信している。

著書に『おにぎりと味噌汁だけ ─ほぼ10分で完成! 食べて健康になる朝食献立─』(ワニブックス)、『中学受験は食事が9割 子どもの学力を伸ばしたければ、食事をこう変えなさい』(光文社)がある。

『おにぎりと味噌汁だけ ─ほぼ10分で完成! 食べて健康になる朝食献立─』
ワニブックス

『中学受験は食事が9割 子どもの学力を伸ばしたければ、食事をこう変えなさい』
光文社

取材・文/石牟礼ともよ

『子どもの学力を伸ばしたければ、子どもに料理をさせなさい』の連載は、全3回。
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※公開日までリンク無効

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