厚切りジェイソン氏の分かりやすい解説 「投資を始めるタイミングは今」の理由

厚切りジェイソンさんが教える投資と子どもへの金融リテラシーの高め方 #1 ジェイソン流・投資について

お笑い芸人:厚切りジェイソン

「投資は長期的にコツコツ、積み立てることが重要だよ」(ジェイソンさん)。  撮影:森﨑一寿美

──『ジェイソン流お金の増やし方』は、厚切りジェイソンさん初のお金に関する著書で、現在も大ヒット中です。ヒットした理由として、コロナ禍を経て「職を失う」、「給料が減る」といったことが身に迫ってきたことで、リアルにお金について今一度考える人が増えたということでしょうか。

厚切りジェイソンさん(以下、ジェイソンさん):そうだろうね。今は生活ができていても、将来のことを考えたら不安になって、投資を考え始めなくちゃって考えた人も多いのかもしれない。それに将来や老後だけじゃなくて、子どもがいる家庭は習い事とか塾とか、進学の費用と、教育にかかるお金も多いから切実だよね。

日本人はお金のことを話題に出すのを恥ずかしいと考える人も多いけれど、実際お金がなくては生活ができないし、家族も守れない。もっと真剣にお金をについて考えた方がいいと思うよ。

「お金のことを話すのは決して恥ずかしいことではないよ」(ジェイソンさん)。  撮影:森﨑一寿美

──ちなみにジェイソンさんは個別株などの投資ではなく、米国株の投資信託に、長期間・分散をしながら積み立てをするという投資方法をされているとのことですが、この投資法に至ったのにはなにかきっかけがあったのでしょうか?

ジェイソンさん:僕の場合は、 投資の神様のウォーレン・バフェット氏が、奥さんに遺した言葉がきっかけなんだ。

彼は、自身が会長兼CEOでもある世界最大の持株会社『バークシャー・ハサウェイ』の株主に対して、毎年「バフェットからの手紙」と呼ばれる年次報告書を発表しているんだけど、その中で、「私に万が一のことがあったら、資産の90%をインデックスファンド (※1)に回しなさい」と奥さんに伝えたと書いてあったんだよ。この 言葉は、大きなきっかけになったね。

もうひとつ。バフェット氏が、投資のプロであるファンドマネージャーと賭けをした結果も僕の投資法に大きな影響を与えている。それは100万ドルをそれぞれバフェット氏はインデックスファンドのみに投資をして、投資のプロであるファンドマネージャーはヘッジファンド (※2)に投資をしたというもの。どちらが10年後に利益を出すかを勝負したんだ。

(※1)
インデックスファンド
日経平均株価などの特定指数に連動した成果を目指す投資信託のこと。一方、指数にとらわれずリターンの獲得を目指すものをアクティブファンドという。

(※2)
ヘッジファンド
先物取引や信用取引などを積極的に活用することで、市場の上げ下げに関係なく利益を追求するファンドのこと。株式や債券、不動産などあらゆる金融商品や資産がヘッジファンドの投資対象になる。

ジェイソンさん:結果、バフェット氏のインデックスファンドが大勝。バフェット氏が運用したインデックスファンドは、年平均の利回りが7.1%で、ヘッジファンドは2.2%という結果だったんだ。

この結果からもわかるように、投資のプロですら市場が読めないのに、僕たち素人が結果を出せるわけがない。だからインデックスファンド一択で間違いないと考えるようになったんだよ。

投資をするタイミングは「今」だよ!

──しかし、投資の初心者からすると、今の情勢が投資をスタートするのに最適なタイミングなのか不安に感じます。ウクライナ侵攻の影響や、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)の度重なる利上げの影響によるドル高円安の今の状況を鑑みると、さらに 市場が落ち込んでいき、今投資をスタートすると損をしてしまうのではないのでしょうか。

ジェイソンさん:では逆に質問をしますけど、今より景気が良くなるタイミングがわかりますか? ウクライナの侵攻がいつ終わるかわかりますか? この先のことはだれもわからないよね。だからこそ定期的にコツコツと、長期的に投資をすることが必要なんだ。

そこで「ドル・コスト平均法」という、比較的安全な投資法を紹介するよ。これは、毎月定期的に時間を分散して購入することで、購入価格を平準化して、価格変動のリスクを分散する投資法なんだ。

「時間(時期)の分散(ドル・コスト平均法 )」の例。  出典:金融庁「投資の基本」

ジェイソンさん:例えば、手元に100万円あって、それを一気に買ったとしよう。でも翌月、その株価が半値になったら50万円の損失が出たことになるよね。

そこで、同じ100万円を毎月20万ずつわけて購入したらどうかな? 最初に買った20万が翌月半値の10万になったとしても、一度に100万円買った時より損失は少ない。しかも残っている80万で同じ投資商品を安く買うことができるよね。

先ほどのバフェット氏の賭けの話ではないけれど、投資のプロですら市場は読めない。だからこそ、ドル・コスト平均法で時間を分散して、基準価額(投資信託の値段のこと)を平準化しつつ、長期間買い続けることが大切なんだよ。

なぜなら、長期間続けることで、さらに「複利」の効果も生まれるから。複利は単純にいうと、利子がさらに利子を生み出すということ。だから「いつが投資の始めどきかわからない」なんて 悩んでいないで、今すぐ始めるべきなんだ。投資期間は長ければ長いほどお金を増やしやすい傾向にあるんだよ!

投資期間と複利効果の関係。  出典:金融庁「投資の基本」

ジェイソンさん:あともうひとつ。リスクを減らす方法は、「資産を分散する」こと。例えば、ある一社に手持ちのお金をすべて投資したとしよう。

でも、もしその会社の業績が急激に下がったり、社会情勢の影響で潰れたりしたらどうかな? 投資したお金をすべてその会社につぎ込んでいるから、会社の経営状況で資産も大きく左右されるよね。

投資した株が半値になることだってある。資産を分散していれば、ある一社の株が暴落しても、まだ他は残っているから救われるよね。

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