おもちゃのプロが教える! コロナ禍でも失敗しない「知育玩具」の選び方
おもちゃコンサルタント・平野美由紀さん(DocSpiel)子どもが伸びる「知育玩具」【前編】 失敗しない選び方とパパママQ&A
2021.07.03
コロナ禍では玩具店の多くが、店頭のサンプルおもちゃを撤収しました。実際に子どもたちがさわったり、親が店員から話を聞いたりしておもちゃを選ぶ機会が減ってしまったのです。しかし知育玩具はとても奥が深いおもちゃ。本来ならば、お店で聞いておきたい情報がたくさんあります。
そこで、おもちゃコンサルタントとして、メディアや講演でおもちゃにまつわる情報を発信し続けている平野美由紀さんにインタビュー。「知育玩具の基本のキ」をお聞きし、さらにコロナ禍にパパ・ママが直面しているおもちゃに関するお悩みや質問にお答えいただきました。
子どもたちに必要なのは 遊びの中で「体感」し学んでいくこと
−−−まず「知育玩具」とはどのようなおもちゃを指すのでしょうか。
「子どもたちが遊びの中で、自ら五感を使い、何かを『体感』できるおもちゃを指します。この『体感』により遊ぶ意欲が育まれ、『行動』から学びにつながり『知識』へと導かれます。
たとえばこのハンマートイ。ハンマーで木製の棒を打ち込んで遊びます。裏返してまた叩く……というシンプルな遊びですが、この繰り返しで子どもたちは身体を使って『加減』や『限度』を学びます。それが子どもたちの知識となり、日常の生活に生かされていくのです。遊ぶことで、自然に身につけていく。これが『知育玩具』です。
『知育玩具』という言葉自体はおもちゃメーカーが広めた言葉。この言葉が一人歩きして、お母さんたちの中には何か勉強ができるようになるものを『知育玩具』と捉えている方が多いかもしれません。しかし実際には、子どもたちが意欲的な遊びの中で“自然に”学びと安心感を得られるおもちゃが良いおもちゃです。その視点を加えておもちゃ選びをすれば、知育にもつながり、子どもにとって良いおもちゃに出会えるでしょう。
−−−良いおもちゃの選び方、必ず押さえておきたいポイントを教えてください。
「子どもたちにとって良いおもちゃとは『今』使えて、最低5年以上は使えるおもちゃです。最近はSNSなどで評判がいいからと、実際の年齢よりも高い対象年齢の商品を購入されるお父さんお母さんも少なくありません。しかし子どもたちに大切なのは、『今』自分から遊び始めるということ。そして1年2年……と年を重ね、成長と共に遊びが発展していく。それが良いおもちゃです。子どもがほしがるおもちゃはおやつ程度ととらえ、主食となるおもちゃは大人の目線でしっかり選ぶことも大切にしてほしいポイントですね。
たとえば、トレインカースロープ。赤ちゃんのときは坂を転がっていく車を目で追って遊びます。幼児期になって遊びが発展すると、どんぐりなど転がりそうなものを自分で探してきて遊びます。そして思春期、このスロープを緩やかに降りていく車に不思議とホッとして、心が落ち着くのです。
『受験時にこのおもちゃが子どもの精神安定剤になった』と言ったお母さんがいらっしゃり、驚いたこともあります。コースの角度や速度など、職人により計算され尽くし、1979年から愛されている商品です。長年にわたり規格を変えず、作られ続けている……このあたりも良いおもちゃのポイントになりますね。」