目黒川で拾われた保護猫の「ねこさん」 フクロウのようなルックスが海外からも注目
ねこシールブックに登場のシンデレラ猫「ねこさん」飼い主、デザイナーの藤澤ゆきさんインタビュー
2023.07.21
ライター:小川 聖子
モフモフのからだに小さく突き出た耳が「まるでフクロウみたい!」と話題の「ねこさん」。今ではSNSはもちろん『BRUTUS』などで取り上げられ、話題の猫シールブック「SNSで人気の有名ねこさんだらけ ねこいっぱいシールブック応援ワード編!」(7月28日刊行)にも登場しています。
そんなインフルエンサーキャットの「ねこさん」ですが、もともとは目黒川でレスキューされた保護猫なのだそう。 「ねこさん」と出会ってからの心温まるエピソードや人気猫になった経緯を、現在の飼い主で、テキスタイルデザイナーとしても活躍する、藤澤ゆきさんにお聞きしました。
浅瀬で動けなくなっている 「ねこさん」を見つけました
──どんな経緯で「ねこさん」を家族として迎えられたのでしょうか。
藤澤ゆきさん 2016年の暑い日、目黒川の浅瀬で動けなくなっている「ねこさん」を見つけました。近所のおじさんとレスキューしてすぐに病院に連れていったところ、幸い怪我などはありませんでしたが、痩せて毛は薄く、ドブまみれの状態でした。成猫なのに去勢されていなかったので野良猫かなと思いましたが、念のため遺失物として警察に届けを出しました。しばらくは怖かったのか、お風呂場やベッドの下に隠れていたのですが、数日後からすこしずつ打ち解けてくれて。数ヵ月経っても、警察にも病院にも届けがなかったため、正式にうちの家族になりました。
──「ねこさん」という呼び方はそのころからですか。
藤澤さん はい。当初は「もしも飼い主がいたらお返しするから…」と、距離を置くために呼んでいた愛称でしたが、そのまま家族になって名前が定着しました。今のねこさんは、野生時代を忘れて一日中眠ったり、床に転がってへそ天を披露してくれたりと、悠々自適に毎日を過ごしています。飲み水にもごはんに困ることもなく、のんびりと猫生を満喫しています。
ミステリアスなルックスが 世界中から注目の的!
──有名になったきっかけはありますか?
藤澤さん 山のようなかたちのねこさんの写真は、特に反響がありました。ねこさんの特徴は、フクロウのようなシルエット。海外のフォロワーの方には「まっくろくろすけみたい!」と驚かれます。実は真っ黒ではなく、毎年少しずつ、黒、茶、グレーと毛の色がグラデーションに変化しています。
──特に人気の投稿はありますか?
藤澤さん 過去の投稿で一番人気だったのはこちらです。ねこさんののんびりしたポーズやおどろいたような表情にコメントを当てはめて、ストーリーズにアップしてくれる海外のフォロワーさんが多いです。
足が悪い「ねこさん」と暮らすうち、 ペットの問題を考えるようになりました
──「ねこさん」と暮らしていて感じることはありますか。
藤澤さん のんびりしたねこさんがそばにいると、人も猫も、健康でいるだけで尊いねって毎日しあわせを感じます。ただ、心配ごともあります。ねこさんは足がすこし悪く、高いところへのジャンプが苦手なんです。ステップやカーペットを用意したり、リノベーションをして歩きやすい床材に変えたり、ねこさんの負荷をやわらげられるよう工夫しています。保護猫なので正確な出自はわかりませんが、病院で調べてもらったところ、スコティッシュフォールドなどが持つ遺伝性の骨軟骨異形成症である可能性が高いと診断されました。
──スコティッシュフォールドのような特定の猫種は遺伝的疾患を発症する場合があるそうですね。
藤澤さん ねこさんと暮らすようになってから、生体販売や人間による恣意的な交配など、ペットを取り巻く状況にすこしずつ疑問を抱くようになりました。もちろん生まれてきた命には罪はないのですが、人間による生体販売ではない選択肢がもっと広まるといいなと思っています。今、世の中には何らかの事情で行き場を失い、保護された猫たちがたくさんいます。保護猫は子猫ばかりではなく、なかには多頭飼育崩壊から救われた子もいると思うと胸が痛いです。
保護猫のことをたのしく軽やかにみんなとシェアできたら
──藤澤さんは、最初にシールブックへの掲載のご相談をしたときも、ペットショップの広告はついていないか、特定の猫種を推す内容ではないかを確認されていましたね。
藤澤さん はい。細かくて申し訳ないと思いつつ、自分にとって大切にしたいことだったので、確認のお願いをさせていただきました。
──大切なことだと思います。今回、ねこさんも掲載させていただいたシールブックは、猫が好きな方が手に取られると思いますが、何か伝えたいことはありますか。
藤澤さん 「動物と暮らしたい」と思った方が、保護施設から迎える手段を最初に思い出してもらえたらうれしいなと思います。ねこさんを通して、保護猫の中にはこんなにユニークな子もいるんだよ、と伝えられたらうれしいです。ねこさんからもらった幸せや、保護猫のこと、たのしく軽やかにみんなとシェアできたらいいなと願っています。
──本日はありがとうございました。
(写真提供/藤澤ゆきさん)
右列中央・カヌレみたいなシルエットがお洒落な”ねこさん”(『SNSで人気の有名ねこさんだらけ、応援ワード編 ねこいっぱいシールブック』より
「SNSで人気の有名ねこさんだらけ ねこいっぱいシールブック応援ワード編!」のオシャレな使い方はこちら
藤澤 ゆき
箔や染めによって、ファッションの新たな価値をかたちづくる、テキスタイル/デザインレーベル【YUKI FUJISAWA】代表。人生のあたたかな時を共に過ごすアートピースのようなプロダクトを作り上げています。近年の仕事にNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」タイトルバックなど。
ねこさんの最新情報はインスタグラムをチェック! @necosan_cat
テレビ出演、写真集や雑誌のカバー、SNSで大人気のセレブ猫さんたち、そしてこれからバズるかもしれないニューフェイス猫が計97匹登場。
「おつかれさま」「グッジョブ」「のんびり行こう」など、ポジティブワードつきで、メッセージカード替わりにも使いやすい仕様になっています。
小川 聖子
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。