子どもを守るために知っておきたい ママのためのお天気講座

イラストレーターで気象予報士のこはるゆきのさん #3 親子で空を楽しむ

構成・取材:時政 美由紀

空を見上げたらいいことがある、かも⁉
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豪雨や台風による災害、高温多湿による熱中症など、お天気による、いわゆる気象災害が増えています。身のまわりの危険はお天気にかかわることが多いということですね。

そこで、子どもを守るためにも、ママがお天気のことを知っておく必要があります。

気象予報士でイラストレーターでママでもある、こはるゆきのさんに「子どもを守るために知っておきたいお天気知識」を全3回にわたってお聞きしていきます。

また、 忙しいママの暮らしに空を見上げる時間を作ったり、空や雲、夕焼けを眺めることもこはるさんは提案しています。

お天気を知識として知るだけでなく、空を見ることで、ほっとしたり、心が癒されたり、暮らしがより楽しくなったりするからです。

そして、さらにお天気への理解を深めることができ、子どもを気象災害から守ることにつながっていきます。

3回目は「親子で空を楽しむ」です。1回目2回目は、こちら。

忙しい日々の合間に空を見る

忙しいママにおすすめなのが、「空を見ること」とこはるゆきのさんは言います。

「忙しい日々の中で、空を見上げる、雲や夕焼けを眺める時間を作る、といったことで、“ちょっと立ち止まってみる”という気持ちの余裕が生まれると思いますよ」

空を見ることで、ほっとしたり、心が癒されたり。親子で眺めれば、コミュニケーションがより深まるかもしれません。

あの雲、何に見える?

「『あの雲、何に見える?』と、親子で雲の形について想像し合うのも楽しいものです」

雲は刻一刻と形を変えます。今まで大きなクジラに見えていたものが、徐々に形を変えて、かわいいカメに見えたり。

「『大きなクジラさんが、かわいいカメさんに変身したね!』など、子どもと会話を楽しむことで、子どもの想像力が膨らむかもしれません。『今日はクジラが撮れた、明日は何が撮れるかな?』と、雲を撮影しても楽しいですね」

カメに見える?

秋の空のひつじの群れ

「雲の形はさまざまで、無限にあるとさえ言えますが、実は雲の種類はその形や高度によって大きく10種類に分けられています。これを“十種雲形”と言います」

雲の種類が10種類に分けられるというのは驚きですが、子どもと楽しむには、親しみやすい名前がついているものがおすすめではないでしょうか。

「秋の空によく見られるひつじ雲。ひつじ雲は十種雲形でいうと、“高積雲”と呼ばれるもので、高度2~7キロに発生します。似ている雲に、うろこ雲、いわし雲がありますが、これらは“巻積雲(けんせきうん)”と呼ばれ、ひつじ雲よりひとつひとつの雲が小さく、高度5~13キロとひつじ雲より上空にあります」

「ひつじの群れの上に、いわしが泳いでいる?」、考えただけで、なんだか幻想的な気分になりますね。

ひつじの群れ? ひつじ雲。

美しい虹色の彩雲

「雲が虹色に美しく色づくことがあります。この現象を“彩雲(さいうん)”と呼びます。”彩雲“を見るには、太陽の近くの雲を観察するのがポイントです。実は珍しい現象ではなく、いわし雲やひつじ雲がある時に出会いやすいです」

レインボーカラーの綿菓子のようで、かわいくて、おいしそうですね!

虹色に色づいた彩雲。

やっぱり出会えたらラッキー⁉

「太陽の光が雨粒に当たって見える“虹”。晴れ間はありますが、太陽と反対側の空では雨が降っている、というような状況で見られます。ですから、雨雲が移動して、日が差してきた時に太陽と反対の方向を見ると、もしかしたら虹が見えるかもしれません」

やはり虹を見ると、大人でもテンションが上がるもの。なんだかいいことがありそうな気分になるのではないでしょうか。

太陽と反対の空に虹!

「太陽の光が強いと二重の虹が出ることがあります。二重の虹で特に注目してほしいのは、濃く見えている内側の虹(主虹・しゅこう)と、薄い外側の虹(副虹・ふくこう)では、色の並びが逆になっていること。一重の虹は、外側が赤、内側が紫ですが、副虹は外側が紫、内側が赤です」

外側の虹の色に注目!

副虹はどうして出るの?
副虹は太陽の光が雨粒の中で2回反射することでできます。主虹と副虹では、太陽の光が雨粒の中を通る時に、光が逆方向に回って色が分かれるため、色の並びが逆になります。

「また、余談ですが、虹は外側から、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色と言われますが、実は世界的に見るとそうでもなく、国によっては、5色、3色という地域もあるようですよ」

夕焼けになると明日は晴れ?

「夕焼けを見ながら、『ピンクの色がきれいだね』『この後どんどん暗くなるよ』など、私も子どもと会話をしながら、太陽が沈むのを眺めることが多いです」

用事の多い夕方にあえて、きれいな夕焼けで癒されるのも大事な時間ではないでしょうか。

「日の出前と日の入り後の時間は、“マジックアワー”と呼ばれて、1日の中でも特に美しい空の彩りが見られる時間です。忙しい時間帯ではありますが、空を眺める時間をすすんで持っていただきたいな、と思います」

ピンク色に染まるある日の朝焼け。
オレンジ色に染まるある日の夕焼け。

「“夕焼けは晴れ”と言われます。天気は西から変わることが多いため、夕焼けが見えるということは西の空が晴れているので、翌日も晴れるということ。実際にはそうならないこともありますが、親子で観察してみるのもおもしろいですね」

夕焼けはどうして赤いの?
太陽からの可視光線は、様々な色がありますが、地球上の大気の層を通る間に散乱し、紫や青など波長が短い光ほど散乱しやすくなります。
太陽の高度が低くなる朝や夕方は、太陽の光が大気の層を通る距離が長くなるため、波長の長い赤色が残って、朝焼けや夕焼けは赤く見えます。

空を見ることは、空の変化を察知し、防災にもつながります。そして、忙しい日々の潤いにも。空を見上げて、子どもと想像を巡らせ会話をする、そんな時間を持つことも大切だということをこはるさんに教えていただきました。

こはるゆきの プロフィール
兵庫県在住。2歳児のママ。気象予報士として広島県などで気象キャスターを経験。現在は子ども、親子向けのお天気講座の講師をしながら、イラストレーターとしても活動。絵本の制作もしている。
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イラスト・写真/こはるゆきの 取材・構成/時政美由紀

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ときまさ みゆき

時政 美由紀

構成・取材

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。

1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。