豪雨や台風による災害、高温多湿による熱中症など、お天気による、いわゆる気象災害が増えています。身のまわりの危険はお天気にかかわることが多いということですね。
そこで、子どもを守るためにも、ママがお天気のことを知っておく必要があります。
気象予報士でイラストレーターでママでもある、こはるゆきのさんに「子どもを守るために知っておきたいお天気知識」を全3回にわたってお聞きしていきます。
また、忙しいママの暮らしに空を見上げる時間を作ったり、雲や夕焼けを眺めることもこはるさんは提案しています。
お天気を知識として知るだけでなく、空を見ることで、ほっとしたり、心が癒されたり、暮らしがより楽しくなったりするからです。
そして、さらにお天気への理解を深めることができ、子どもを気象災害から守ることにつながっていきます。
1回目は「夏の積乱雲と熱中症対策」です。
真っ黒な雲に気をつける
「“積乱雲”と呼ばれる夏の代表的な雲、真下では激しい雷雨になっていて、天気の急変に要注意です」とこはるさんは言います。
子どもとお出かけしていて、天気の急変は困ります。ましてや大雨に見舞われてしまったら大変。天気の急変はどんな兆候があるのでしょうか。
①真っ黒な雲が近づく(急に暗くなる)
②急に冷たい風が吹く
③雷の音がする
「積乱雲は夏によくみられる雲ですが、水を大量に含み、背が高く発達した雲です。急な大雨、雷、場合によっては竜巻の危険もあります。近づく兆しがあったら、安全な場所に避難しましょう」
今まで暑かったのに、ヒューっと冷たい風を感じる、なんてことも心当たりがありますね。
「私も、夏は子どもと川遊びをすることが多いのですが、川はその場所では雨が降っていなくても、上流で大雨が降った場合、急に激流となって流れてきますので、上流の天気にも注意が必要です。『川で遊ぶのは危ないから』とあきらめずに、気象情報を得て安心して遊んでいただきたいです。気象レーダーの雨量情報などを確認しましょう」
雨雲の動きは、気象庁の「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」で見ることができます。
雷は油断大敵!
「積乱雲は雷を起こす雲です。雷が遠くで聞こえているからといって安心はできません。音がしたらすでに危険な状態ですので、すぐに建物の中か車の中に入ってください。雷は高いところに落ちやすいですから、海、グラウンド、河原など開けた場所は人に落ちやすく危険です」
ゴロゴロと聞こえたら、早すぎるということはありません。雷は早めの対応が肝心ですね。
「また、木の下で雨宿りをする人がいるのですが、大変危険な行為です。“側撃雷(そくげきらい)”といって、木に落ちた雷が人に飛び移って襲ってくることがあります。命にかかわることも多いので、雷が発生している中での木の下での雨宿りは絶対にやめてください」
子どもは熱中症になりやすい
天気の急変も心配ですが、真夏の危険といえば、「熱中症」。対策はどうすればいいでしょうか?
「子どもは熱中症になりやすいんです。気がついたら子どもの様子がおかしいというようにならないために、気をつけてあげましょう」
子どもはどうして熱中症になりやすいのでしょうか?
①身長が低い(地面からの照り返しの影響を受けやすい)
②体温調節機能が未発達(汗をかく能力が未熟など)
③自分で予防できない(症状を訴えられない、遊びに夢中になる)
などが主な理由だと言います。
「大人なら、頭が痛い、立ちくらみがする、足がつるなど、熱中症の症状がみられればすぐに対処ができますが、そもそも熱の影響を受けやすく、不調や症状をうまく伝えられない子どもは見過ごされやすいので、大人が気をつけてあげないといけません」
「熱中症警戒アラート」を見逃さない
「熱中症警戒アラート」が発表されている時は、熱中症になる危険性が極めて高いということです。
外での遊びは控えたり、子どもの様子を気にかけたり、いつも以上に熱中症対策をしっかりしましょう。
気温は同じでも湿度が高いと汗が蒸発しにくく、身体から熱が放出しにくいので熱中症になりやすくなります。
熱中症警戒アラートは、気温だけではなく、湿度や日射などの影響も取り入れた「暑さ指数(WBGT)」をもとに発表されます。
環境省熱中症予防情報サイトでは、暑さ指数や熱中症警戒アラートの発表状況を見ることができますので、チェックして熱中症を予防しましょう。
熱中症になってしまったら
熱中症に気をつけて、炎天下や高温多湿な場所に長時間いるのは避けたほうがいいのはもちろんですが、いざそうなってしまった場合の対処も大切。
「ただちに涼しい場所に移動し、太い血管のある首すじ、脇、足のつけ根などを冷やし、水分、塩分を補給しましょう。回復しない場合は病院に行ってください。けいれんしている、意識がないなど緊急の場合は、救急車を呼びましょう」
もちろん、子どものためにも、医療関係の方たちのためにも、そこまで悪化しないよう、熱中症予防は忘れずにしたいものです。
こはるゆきの プロフィール
兵庫県在住。2歳児のママ。気象予報士として広島県などで気象キャスターを経験。現在は子ども、親子向けのお天気講座の講師をしながら、イラストレーターとしても活動。
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イラスト・写真/こはるゆきの
時政 美由紀
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。