【子どものケガ】ホームケアの新常識 「絆創膏を貼らないほうが早く治る」は間違い! 「令和の正しい処置」を専門家が解説

令和の「子どもホームケア」#1~絆創膏による傷のケア~

小児科専門医:森戸 やすみ

お子さんがケガをした場合、少量の血がにじむ程度の傷であれば、まず水道水で砂やジャリなどの汚れを洗い流します。

消毒は傷口を痛める場合があるためせずに、きれいになったら治癒タイプの絆創膏など被覆材で傷口をおおいます。傷痕が残らないように、なるべく傷口の皮膚同士をくっつくように寄せておおうのがポイントです。

被覆材は基本、治るまで貼ったままで構いませんが、その間は赤みやハレ、痛みなど、感染の徴候がないかを確認します。被覆材が水分を含んでふくれ上がっていたり、汚れが気になったりするようなら貼り替えましょう。

市販の治癒タイプの絆創膏を使用する際は、貼り替えのタイミングなど、パッケージに書かれた使い方を参考にしてください。小さいお子さんは、被覆材を誤飲する恐れがあるので、使用には十分な注意が必要です。

治癒タイプの絆創膏がなかったとき、親御さんが食品用ラップやワセリンで傷口をおおったという話を聞いたことがあります。でもラップは密着しないので医療用テープで止めたとしても、はがれやすいのが難点です。ワセリンは傷口を埋めてしまうため、傷口の皮膚同士がくっつかず、治りが遅くなってしまうことも。

応急処置には救急絆創膏を一時的に使って、傷を治すには、治癒タイプの絆創膏の使用をおすすめします。

病院へ行くべき目安とは?

傷口の周囲が大きくハレている、赤くハレている、尋常じゃない痛がり方をするときは、気づいた時点で早急に受診してほしいと思います。犬や子どもに嚙まれた傷からは、多くの細菌が入ってしまう可能性があります。

また、転んでできたすり傷の場合は、土壌に生息する破傷風菌から破傷風になる危険性があります。日本では、破傷風を予防するための4種混合ワクチン(2024年4月以降は5種混合ワクチン)が定期接種の対象となっていますが、未接種の場合、外来の際に必ず医師に伝えてください。

こうした感染症のリスクがあるときは外科の受診をおすすめします。皮膚科や整形外科でも診療してくれる場合があるでしょう。ケガをした場所によっては、眼科や耳鼻科がいい場合もあります。適切な医療機関がわからないときは医療機関に電話して症状を伝え、受診してもいいか尋ねるか、まずはかかりつけの小児科医に相談するのもよいと思います。

【子どものホームケアの新常識 その1】
傷を治すには、「治癒タイプの絆創膏(被覆材)」を貼ったほうが痛みも少なく、早く治る。応急処置として「救急絆創膏」を一時的に使うのもあり。


取材・文/星野早百合

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もりと やすみ

森戸 やすみ

Yasumi Morito
小児科専門医

小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。

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小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。