コロナ第7波の夏休み 子どもへの伝え方とママ友づきあいを専門家が指南

新型コロナ第7波の今、パパママ、子どもたちが知っておきたいこと #2~子どもとママ友のコミュニケーション~

国際災害レスキューナース:辻 直美

お話を伺った国際災害レスキューナースの辻直美さん。大勢のママたちの悩みに答えてきた経験から、コロナ禍での親子のコミュニケーション、ママ友づきあいについてアドバイスしてくれました。  Zoom取材にて。

感染予防対策 温度差があるママ友とどう付き合う?

ママ友同士の価値観の違いや、感染予防対策に対する温度差に、頭を悩ませる人も少なくありません。

「それぐらい気にしなくて大丈夫よ」と心配を笑い飛ばされてムッとしたり、「そんなに気になるなら会うのをやめておく?」と判断をゆだねられてモヤモヤ……。

「大前提として、絶対的な正解はないからこそ、『自分で決めること』を大切にしましょう。気まずくなるのがイヤだからと、不本意ながら相手の判断にゆだね、本当に『もしも』があったときに、後悔するのは自分です。

第7波は重症化しづらいとも言われていますし、中にはほぼ無症状で療養期間を終える人もいます。でも全員が全員軽く済むわけではなく、後遺症で苦しむ人も大勢います。

そうなってしまってから『○○ちゃんママが大丈夫って言ったから!』と文句を言っても、どうすることもできません」(辻さん)

できることなら、ママ友と気まずくなりたくない。そう願うなら、むしろ、「我が家のスタンス」をはっきり打ち出したほうがいいと辻さんは助言する。

「うちの息子たちがまだ小学生だったころ、『家の前で遊ぶのはいいけど、家の中で遊ぶのはダメ。家の中に入るのは水分補給とトイレだけ』というのが我が家のルールでした。当時はコロナ禍とは関係なく、ゲームばかりしたがるからというのが、その理由でした。

息子からも、息子の友達からも大ブーイングでしたが、そのうち、『辻の家はゲームで遊ばせてもらえない』というのが浸透します。他の親御さんにも会う機会があるたびに、事情を説明し、ご理解くださいと頭を下げました。

そうこうしているうちに、『辻さんはそういう考えのお家なのね』となっていくので文句を言われることも、気まずい思いをすることもなく過ぎています」(辻さん)

「先手必勝で挨拶をするのも大事」と辻さんは笑う。

「うちの子は先方の家にお邪魔しているけれど、うちは『家に上げない』と決めているとなると、先方の親御さんはちょっと面白くない思いをしていても不思議はありません。

そんなときはとにかく、いち早くご挨拶に行く。子どもたちにおやつを余分に持たせたりもしました。一番良いのは顔を見て挨拶することですが、それができなかったら、子どもに伝えてもらったり、手紙を託したりしてもいい。

そうすればたいてい、向こうも『うちの子がしつこく誘ってごめんなさいね』という話になりますよ。もちろん、たまにちょっと変わった人もいますけど、そのときは、それなりの距離感で付き合いましょうか」

感染拡大が続く中、どこまでのリスクを許容できるのか。正解は家族の数だけあるからこそ、日頃から家族で一緒に考え、話し合うことが欠かせないと、辻さんは言います。

「決める」ストレスと向き合うことが、感染リスクを軽減し、「決めない」に由来するストレスを和らげることにつながるのです。

辻 直美(つじ・なおみ)
国際災害レスキューナース。まぁるい抱っこマイスター一般社団法人「育母塾」代表理事。1991年から看護師として、災害レスキューナースとしては1995年から活動。現在はフリーのナースとして、講演活動や防災教育のほか、子育てに悩むママをサポートする「育母塾」の代表としても活躍し、母親たちから絶大な支持を得る。著書多数。

取材・文/島影真奈美

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つじ なおみ

辻 直美

国際災害レスキューナース

国際災害レスキューナース。まぁるい抱っこマイスター一般社団法人「育母塾」代表理事。阪神・淡路大震災で実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。1991年から看護師として、災害レスキューナースとしては1995年から活動。 現在はフリーのナースとして、講演活動や防災教育などを行っているほか、子育てに悩むママをサポートする「育母塾」の代表としても活躍。子育て中の母親たちから絶大な支持を得る。 『レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社)、『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(扶桑社)、『防災クエスト』(小学館)など著書多数。最新刊の『プチプラで「地震に強い部屋づくり」』(扶桑社)は2022年8月10日発売。 Twitter:@tobecoolnao Instagram:nao_saigairescue You Tube:プチプラ防災LABOちゃんねる

国際災害レスキューナース。まぁるい抱っこマイスター一般社団法人「育母塾」代表理事。阪神・淡路大震災で実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。1991年から看護師として、災害レスキューナースとしては1995年から活動。 現在はフリーのナースとして、講演活動や防災教育などを行っているほか、子育てに悩むママをサポートする「育母塾」の代表としても活躍。子育て中の母親たちから絶大な支持を得る。 『レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社)、『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(扶桑社)、『防災クエスト』(小学館)など著書多数。最新刊の『プチプラで「地震に強い部屋づくり」』(扶桑社)は2022年8月10日発売。 Twitter:@tobecoolnao Instagram:nao_saigairescue You Tube:プチプラ防災LABOちゃんねる

しまかげ まなみ

島影 真奈美

介護ジャーナリスト

介護ジャーナリスト。一般社団法人マリーゴールド理事、NPO法人タダカヨ理事。編集・ライター業の傍ら大学院に進学し、「老年学」を学び始めた矢先に、夫の両親の認知症が立て続けに発覚。現在も仕事×研究×介護の三つ巴生活を送る。介護分野の取材・執筆、プレ介護者・介護者向けのセミナー・講演を精力的に行う。 著書に『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)、『親の介護がツラくなる前に知っておきたいこと』(WAVE出版)など。 Twitter @babakikaku_s

介護ジャーナリスト。一般社団法人マリーゴールド理事、NPO法人タダカヨ理事。編集・ライター業の傍ら大学院に進学し、「老年学」を学び始めた矢先に、夫の両親の認知症が立て続けに発覚。現在も仕事×研究×介護の三つ巴生活を送る。介護分野の取材・執筆、プレ介護者・介護者向けのセミナー・講演を精力的に行う。 著書に『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)、『親の介護がツラくなる前に知っておきたいこと』(WAVE出版)など。 Twitter @babakikaku_s