【子どもの虫刺され】ホームケア新常識 「お湯をかける」は効果なし! 虫刺されの予防と正しい対処法〔医師が解説〕

令和の「子どもホームケア」#9~子どもの虫刺され~

小児科専門医:森戸 やすみ

子どもが注意したい虫と虫刺されの症状

虫刺されの症状や現れ方は虫の種類によって異なるため、主な虫刺されの症状を知っておくといいですね。対処法はかゆみをやわらげるために冷やすこと、ステロイド外用薬を塗ることが基本ですが、大きく腫れたりかゆみが強かったりする場合は、皮膚科を受診してください。

【ブユ(ブヨ)】
刺されたときは痛みやかゆみがほとんどありませんが、刺されてから半日ほど経つと刺された箇所が赤く腫れ、だんだんと激しいかゆみが現れます。蚊と同様にかき壊すととびひになる恐れもあるので、症状が強い場合はステロイド外用薬を塗ります。

【ケムシ】
一部の有毒毛を持つケムシに触れると、皮膚炎を起こします。数十万本もの毛が密集している「毒針毛(どくしんもう)」を持つドクガ類の場合、首や腕を中心に激しいかゆみを伴うじんましんのような症状、または赤いブツブツが現れます。

体の表面に棘(とげ)として出ている「毒棘(どくきょく)」を持つイラガ類の場合、触れた瞬間にピリピリとした激しい痛みと赤みが現れ、いったんおさまった後、再び触れた箇所が赤く腫れてかゆみが出ることもあります。

ドクガ類に触れてしまったら、かいたりせず、粘着テープなどで皮膚に付いた毒針毛を取り除き、石けんの泡や流水で洗い流しましょう。かゆみが強い場合は冷やし、ステロイド外用薬を塗ります。

【ハチ】
刺されるとハチ毒(ハチの毒)の刺激により激しい痛みがあり、刺された箇所が赤く腫れます。初めて刺されたときは通常1日以内に症状がおさまりますが、2回目以降はハチ毒へのアレルギー反応が加わるため、注意が必要です。

じんましんや腫れが生じるほか、ひどい場合はアナフィラキシーショックを起こし、呼吸困難や腹痛、意識消失などで死にいたることもあります。

刺されたら安全な場所で横に寝かせ、刺された箇所を冷やします。じんましんや腹痛、気分不良などが見られたら、すぐに救急車を。目立った症状がなく元気なら急いで受診する必要はありませんが、経過に注意してください。

予防には市販の虫よけ剤が効果的

蚊は日本脳炎やデング熱などの怖い病気を媒介しますし、ハチは刺されるとアナフィラキシーショックを起こす危険性もあります。公園など虫の多いところへ出かけるときは、虫に刺されないように予防することが大切です。白っぽい色の長袖・長ズボンを着せて、市販の虫よけ剤を使うのがよいでしょう。

現在、日本で認可され、虫よけの効果が認められているのはディートとイカリジンという2つの成分です。

ただし、ディートは生後6ヵ月未満だと使用できず、生後6ヵ月以上2歳未満は1日1回、2歳以上12歳未満は1日3回までと決まっているので注意しましょう。

イカリジンには、年齢による使用制限はありません。用法を守り、必要に応じて適切に使用するといいですね。

【子どものホームケアの新常識 その9】
虫よけ剤で予防しつつ、蚊に刺されたときは、早めに市販のかゆみ止め薬を塗り、かゆみが強いときは冷やしてやわらげる。

取材・文/星野早百合

●森戸 やすみ(もりと・やすみ)PROFILE
小児科専門医。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。医療と育児をつなぐ著書多数

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もりと やすみ

森戸 やすみ

Yasumi Morito
小児科専門医

小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。

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小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。『子育てはだいたいで大丈夫』、共著に『やさしい予防接種BOOK』(共に内外出版)など、医療と育児をつなぐ著書多数。『祖父母手帳』(日本文芸社)の監修も手がける。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝える活動を行っている。

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。